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兎/虎な七日間 

某所で開催された企画、七日間毎日ちょっとずつ兎虎話を書こう!
…というののログです。

人物名を書かない(でわかってもらえるように書きたい)
視点を交互に替える
…という自分的縛りを作ってました。



■ □ ■ □ ■ □ ■


(side:B)
取材前、膝の上で組んだ指を捏ねているあの人を眺めた。
「いまさら緊張でもないでしょう」
「いや、指輪がさ」
そう言って指を反らせる。
「最近、筋が当たんだよ」
甲から第二間接までどの指にも筋がピンと張る。
「サイズ、直そうかなって」
そう言って笑う人の左手を僕は眺めた。


(side:K)
昨日、指輪のサイズを直そうかと話したら、あいつは何とも不思議な顔つきをした。
大した金額でもないし納期もすぐなんだってと聞き齧った話をする。
「そうですね」
並んで座っていたあいつは手を伸ばすと、俺の左手を取り上げた。
手を引っ込めそうになった。その恭しさに。


(side:B)
「……指輪」
あの人の指にはまだ銀の輪がある。
「直したんですか」
「いや、まだ」
苦笑が浮かぶ。苦味が混じってもどこか子供じみた笑み。
「デカくするって、別のを足されちゃうわけだろ」
「別の、ですか」
声が掠れていた。なんだろう。胸に、喉に、何かが張りついている。


(side:K)
「白い」
あいつは形のいい人さし指で、俺の指に触れる。
リペア中の指輪がない薬指に。
「そりゃあ、陽にあててないから。長いこと」
こっちだって、と俺はPDAを指す。
笑って、席を立つ。右の手で左手を包んだ。
優しい触れかたに、まだ痺れているみたいな指を持て余す。


(side:B)
「取りに行けなくてさ」
何もない左手に視線を感じたのだろう、あの人は笑った。
「出動かかって、店が閉まっちゃって」
「そうでしたね」
その店が火事にでもならないといいですね、思いついたが言わずにおく。
家が燃えて人が燃えても、金属は燃え残るのだったか。


(side:K)
貴金属店につきあえと言ったら無言でついてきた。
それからいつも通りあいつの家で酒盛り。
酔いが回って、店を出るときケースごとポケットに突っ込んだ指輪を突き出す。
やるよ、と言ってしまおうか。あいつの顔を見ずに、ケースを開いた。
「なぁ、嵌めてよ」


(side:B)
「いいんですか」
我ながら声が震えている。
「いいよ。ってか、外せないけど、俺。そういうやつだけど」
顔を上げる。なんだよその顔、と笑う人の顔だって歪んでいる。
「それでも、いいなら」
「構いません。僕は、あなたの中にいる人ごと――」
指が銀の輪を、くぐる。

―― 完

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Posted on 2012/11/04 Sun. 00:30 [edit]

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