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10/07 SPARK新刊(空/折) 

※ この同人誌は完売しました

印刷屋さんから「Xページが見当たりません」等の電話がかかってこないので、
新刊が出るものとしてこの記事を書くことにしました(笑

10/7の新刊は…とってもニッチなカンジの<モブ視点な空/折>です

「誰かと彼らの四つの話」
52p 500yen 全年齢向

dareka
試作段階の表紙なので、文字の大きさとか紙の色が少し違うかもです…。

ウェブ再録の「Angel Next Door」と書き下ろし三本、四つの話の語り手は全員別の人です。
(本を販売しても「Angel…」をウェブから下げるつもりはありません。)

本文の抜粋は、↓へどうぞ。

モブ視点は好き嫌いが分かれることは承知の上で、書きたいネタがたまってきたので
いっそのこと本にしちゃおう! と思いまして。

サンプルとして載せるのは、シスちゃんへキースさんが贈ろうとしていた花束
を売っていた花屋さん(?)視点…というお話、の冒頭を載せます。
(シスちゃんはいません。空/折です。)

他に、ジョンがキースさんと出会うきっかけ(を捏造)な話、
不思議な体質の男の子とイワンくんの話…の全部で四篇です。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

「Such a lovely flower !」



 人生初のデートは、なんと恋人同伴だった。
 恋人だからデートするんじゃないのかって? 違うの。あたしが誘った相手が、自分の恋人を連れてきたのよ。
 そんなのってアリ?
 待ち合わせ場所にやって来た彼は、爽やかで格好よくて、だけど落ち着いた大人の雰囲気もあって、あたしは弾んだ気持ちになってベンチから立ち上がる。
「やあ、リタ。かわいいワンピースだね」
 いつも通りの笑顔で褒めてくれる。ありがとう、と返すと彼は自分の斜め後ろに立っている人を手のひらで指した。
 驚いた。だって、それはどこからどう見ても男の人だった。男の子とはもう呼べないかな。でも、まだ学生かもしれない。
 あたしが不満と不審をないまぜにした視線を送っていると、その人は言った。
「あの、こんにちは。ええと、僕は、イワンです」
 それだけ言って、これでいいのかなって顔で彼を見上げる。彼はにっこりとうなずいてみせた。
「ねぇ、キースさん、この人があなたの《恋人》?」
 そう尋ねると、キースさんが満面の笑みでうなずくのと、イワンがおかしな声を上げて仰け反るのはほとんど同時だった。


 ちょっと時計の針を戻して、キースさんとの出会いを話すわ。
 あたしのママは花屋さんなの。公園のそば、モノレールの駅の近くで一人でフラワー・スタンドをやってる。ママはシングル・マザーってやつで、スタンドは遅くまで開けてるから、時々あたしもそこでお手伝いをする。
 キースさんはそこのお客さんだった。しかも一時期は大のお得意さんだった。
 ママがスタンドをもう閉めようとしていたときに、犬を連れたハンサムがフラッとやってきて、残っていた真っ赤なバラを全部花束にして買って行ったんだって。そのとき、あたしはいなかったんだけど、翌朝ママが、昨日こんなことがあったのよって話してくれた。ロマンチックだな、あたしもいつかそんな花束がほしいなってスクールバスの中でも授業中も考えていた。
 それから何日もしないうちに、あたしはママのスタンドでお手伝いをしていると、金色の毛並みの、優しい目をした大きな犬と目が合った。そのリードの先にいたのがキースさんで、うちのママに会釈をすると少し言い淀んでから、バラの花を注文した。今度はありったけじゃなかったけど、それでもやっぱり大きな花束になった。
 ママの態度で、これがあの人だってすぐにわかった。花束を抱えたハンサムと犬がいなくなると、ママは「相手の人、うんって言ってくれないのかしら」って悲しげな顔で言った。
 キースさんは、それからも何回かママの店に来ては花束を買っていった。あたしの名前を覚えてくれて、自分と犬の名前も教えてくれた。いつもママにもあたしにも笑顔を向けてくれるんだけど、だんだん思いつめた顔になっていってるカンジがして、あたしは悲しくなった。ママは「パパに逃げられたような女が売る花だから失敗しちゃうのかも」とか言い出して、あたしは「それは関係ないでしょ」って怒ってしまった。あたしに遺伝子を半分くれたけど、あれはサイテー男だった。
 ある日、あたしは風邪気味で、手伝いはもういいから、とママに追い返されて鼻をすすりながら家に帰ろうとしていた。公園の前を通るとき、噴水の前に鮮やかな色の固まりがあって、何だろうと足を止めると、それはママが何時間か前に売った花束だった。あたしもそれが売れるところを見ていた。大きな花束を膝に乗せてベンチに腰を下ろしているキースさんと、その隣で伏せをしているジョンが見えた。
 ママもあたしも勘違いをしていた。
 キースさんは何度もプロポーズをして断られてるんじゃなかった。相手の人に、きっと最初の花束を買った日からずっと、会えていないんだ。
 あたしは近づいて行って「こんばんは」と声をかけた。キースさんは顔を上げて「やあ、リタ」と言って、ちょっとバツが悪そうに笑った。
 何か言ってあげたかった。でも、何を言えばいいかわからなくて、あたしが九歳じゃなくてもっと大人なら良かったのに、と思った。

(抜粋おわり)
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Posted on 2012/09/22 Sat. 04:15 [edit]

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