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空/折 「実施日をご通知願います。」 

お友達の描かれた一枚絵についていたセリフから妄想して生まれました。
(いつになったら…という部分です・笑)
わたしのSSのほうではすっかりギャグに……;;;
逆襲のサイクロン(…ガ●ダムか)。別名、酔っぱらイワン。


----------------

実施日をご通知願います。


 きっかけは<女子会>というヤツだった。
 新しい部屋に住み替えたアニエスがヒーローの女子三名(インテリアを見立ててもらいたいから、と今回はネイサンを含む)と、可愛がっている後輩のスイッチャーの眼鏡っ娘、パオリンの教育係のお姉さんまで呼んでホームパーティーを開いたのだという。
 羨ましそうに指をくわえているアントニオを元気づけてやろうと虎徹が腰を上げた。
 それならこっちは男子会だ、という話になり、男性陣で一番瀟洒な部屋に住んでいるキース宅がその会場となった。ホームパーティーとは縁のないキースだが『アントニオを励ます会』だと虎徹が言うもので、それならどうぞと二つ返事を引き出すことができた。
 えーどうしてアタシもメンバーに入れられるのよぉ、と口を尖らせていたネイサンだったが、いざとなれば料理やら酒やらを手際よく手配してくれた。ネイサンがいなければ、とてつもなくグダグダの家飲みとなったに違いない。
 とはいえ、気取りのない男たちの飲み会だ。宴もたけなわとなると、そこらじゅう散らかしたりいかにもオッサンくさい笑い声が響いたり、だらしのない様相を呈してくる。
 床にあぐらをかいて、虎徹からの差し入れの一升瓶を抱えていたイワンが顔をあげた。
 すぐ脇のソファーに座っていたキースと目が合う。
「……ちょっと、暑いです」
「ああ、じゃあ室温を下げようか?」
 キースはテーブルの上に視線を投げた。エアーコンディショナー用のリモコンはどこにやったか。ナッツ類の皮だの飲みかけで放置されたグラスだのにテーブルの上は占領されていて、目的のものが見当たらない。
 キース自身も酔いが回っているので思考が散漫になってくる。あの缶はなんだったっけ…そうだ、プレッツェルが入っていたな…久しぶりに食べたけど美味しかった…それに……。
 ぼうっとしていると、隣からガバッという音が聞こえ、キースは首をめぐらせた。
 イワンがジャンバーを脱ぎ捨てている。しまった、暑いんだと訴えられたのだ。
「ごめんごめん、今涼しく…」
 キースが慌てて言うと、イワンは立ち上がった。自分でリモコンを探そうというのかな、と目で追っているとキースのすぐ目の前に立つ。
「うん?」
 イワンの視線はキースの頭部に向けられているようだ。まさか自分の頭の後ろにリモコンが転がっているんだろうか。
 もう一度、ガバッという音がした。これは衣類の音だ。衣類?
 キースが顔を正面に戻すと、目の前が暗くなった。ふわりとした感触が頭全体を覆う。それに手をやると、布地に思えた。黒い布。誰かの体温で温まった衣類……。
「イ、イワンくん?!」
 慌てて顔からそれを剥がす。キースの手の中にあったのはイワンが着ていたはずの黒いタンクトップだった。
 続いて、膝の上にどさっと何かが載ってきた。イワンだ。キースの腿を両膝ではさみつけるようにして膝の上に腰を下ろしてくる。
「ええと、あの…部屋が暑いんだ、よね?」
 部屋が暑いからジャンバーを脱ぐ。それはわかる。タンクトップまで脱ぐのはどうかと思うが、まぁ男ばかりで酔いも回っているのだから構わないといえば構わない。
 しかし、なぜ膝の上に乗られてしまっているのだろうか。イワンを見上げる。頬が少し赤く染まって見えるが、かなり酔っているのだろうか。
「おいおい、どうしたぁ?」
 虎徹が部屋の奥から声をかけてきた。
「日本酒、足に来ちゃうもヤツいるからなぁ。バニーだって、洋酒は強いけどポン酒を飲ませたら…コイツさぁ」
「あれは! やめてくださいよ!」
 過去の失敗を暴露されそうになって、バーナビーが声を荒げる。
 先輩のフォローもイワンの耳には届かないらしかった。両手でキースの肩をつかんでくる。一瞬、首でも絞められるのかとヒヤリとした。
 目が、据わっている。
「……ったら、……くれるん、ですか」
「え? な、何?」
「キースさん」
「はい」
「いつに、なったら」
 部屋の温度を下げる話だろうか。それで、こんなに腹を立てているのか。
「抱いてくれるんですか」
 え?
 室温が…それはエアコンを…だから、それにはリモコンが……え? 何だ今のは、幻聴か?
 ぽかんとしているキースを見据えたまま、イワンはカーゴパンツのホックに手をかけようとしている。
「ままま待って! それは、いけない!」
 イワンの両手を上から握るようにすると、随分と冷たい手だった。
 キースは顔を上げる。見下ろしてくる紫の瞳は、大きく見開かれて揺らめいていた。
「……折紙ちゃん、オネエさんたちにも何かすごいセリフが聞こえたわよぉ」
 一番遠くにいるネイサンの耳にまで届いているらしい。
「だ、だって……」
 イワンはキースを見詰めたまま、声を震わせる。
「『いつになったら』って、どういうことなのぉ?」
 おい、とアントニオがネイサンの腕を引いているようだ。しかし、恋愛話大好きな(心は)乙女を止めることはできそうにない。
「お二人っておつきあいされてるわけ? そうなのよね?」
「……春に、セントラル・パークでパーティーがあって、そのあとに、そういう…話になって……」
「へぇ、見直したぜ、スカイハイ……お前って隠し事とかできたんだなぁ」
 虎徹がおかしなところで感心している。
「うそぉ! そうなのぉ?! あのパーティー、ロマンチックだったものねぇ! へぇえええ!」
 両頬に手をやって身をくねらせていたネイサンが真顔になって声のトーンを上げた。
「ちょっとぉ! それから何ヶ月経ってると思ってるの?! その間ずーっと待たせてたわけ?! どういうことなの!」
 声が刺々しくなってくる。セリフの後半はキースに向けてのものだろう。
「……いや、それはだから、つまり」
 キースは声を落としていって、それから膝の上に脱ぎ捨てられていた黒いタンクトップを取り上げた。
「ねぇ、イワンくん、話はあとで聞くから、とりあえずこれを着て」
 イワンの手はもう体の両脇にだらんと垂れ下がっている。服を持たせようとしてもダメらしい。とりあえずタンクトップを胸の前に広げた。まるで試着を促す店員のようだとキースは呑気なことを思い浮かべた。
「なんで、そうやって」
 タンクトップにイワンが手を伸ばしてくれた…と思ったら、それは脇へポイッと投げ捨てられた。
「ああしなさい、こうしなさいって、なんでも指図するんですか」
「指図だって? そんなつもりは」
 キースは目を剥いたが、アントニオが「そりゃしょうがねぇよ」とつぶやく。
「女でも男でもけっこう年が上のヤツとつきあったら、そこは誰でもそうなる」
「と! とにかく! 話はあとで」
「ダメです! 証人がいるところじゃないと、きっとうやむやになるから!」
「そんなことは――」
 ない、と断言することに失敗して、キースは視線をさ迷わせる。そういえば、何となく…ごくわずかにだが、二人の間でそういった雰囲気になったことが二度や三度はあった。しかし、それをムードのせいにしてなし崩しにすることはキースには出来ず、そのために鬱屈がたまったイワンをこうやってキレさせてしまったのだ。
「……じゃあ、あの、モウ失礼するってことで」
 アントニオが虎徹に目配せをする。袖を引かれたネイサンが叫ぶ。
「なんでここで帰れるのよ! 折紙ちゃんだってハッキリした結論が出るまで証人にいてほしいでしょうが!」
「この状況で残れるほうがどうかしてんだろ!」
「アァン、何よぅ! じゃあもっと面白いことをバイソンちゃんが提供してくれるんでしょうね?!」
 何気なく恐ろしいセリフを吐きながらネイサンはアントニオに連れられて出て行こうとしていた。
「あー…じゃあさ、折紙。オレらは帰るけど、今日ここで何らかの発展に向けた取り組みがなされる、ってのの、証人にはなったから。な?」
 そのものズバリの単語を避けたせいで、政治家の答弁みたいになっている虎徹が相棒の肩をつつく。
「ほら、行こうぜバーナビー」
「……僕は今日、相当酔っているみたいです、虎徹さん」
「んぁ?」
「折紙先輩が何だかとてもあられもない格好できわどいことを話しているなんて、こんな……おかしいな、眼鏡をかけてもまだ見える……」
「ええ?! お前、そこ?! いまだに、そこかよ!! 遅ぇよ!!」
「は?! まさか、これは現実なんですか?! ウロボロスの見せる幻影ではないんですね?! オジサン、それなら帰るわけにはいきません、先輩の操が…!」
「ばかやろぉ! カップルが仲良くしようとしてんのを、なんで同僚やら後輩やらが邪魔できるんだよ!! アントニオ、そっち持て! うわ、バニー光るな! 光らないで!!」
 どたばたとキースの部屋を辞そうとしている仲間たちの姿が、イワンに膝の上に乗られているせいでキースの視界からはほんのりと見切れていた。
 リビングのドアが閉まって、廊下を遠ざかっていく物音がする。玄関はオートロックだから問題はないだろう。
 まともにさよならの挨拶もしなかったな、とキースはぼんやりと考える。
「……迷惑ですか」
 イワンが掠れた声を出した。
「せっかく、うやむやにしてたのに、僕からこんなこと言い出して困ってますか」
 キースはゆっくりと首を横に振った。
「全然…僕に、何かしたいとか、思わないですか…もしかして」
 言っておいて自分でショックを受けたのか、イワンの首が折れて背中が丸まっていく。
「したいことを言ったら、させてくれるの?」
 一拍おいて、イワンがうなずいた。
「……キスしようか」
 イワンが顔を上げるのを待って、唇を合わせる。舌先を触れあわせてから、そっと息をついて顔を離した。
「これ、だけ?」
「どうしても、今日がいいのかい?」
 イワンの眉が寄せられる。返事を待たずにキースはもう一度唇を塞いだ。
「いつなら、いいんですか」
 再びキスをする。裸の背をゆっくり撫でると、緊張したようにイワンの息が詰まる。
 キースの手が脇腹へ回る。さっきは自分で脱ごうとしたくせに、カーゴパンツのウエストと肌の隙間に指を差し入れられると、イワンは喉の奥でくぐもった声を出した。
「い、今のは、あの」
 遮るように、もう一度キス。別の場所にもう少しだけ触れて。もう一度。もう一度。もう一度。
 何度目かに唇を離すと、イワンはキースの背に腕を巻きつけて、その肩に額を押し当てた。
「もうさせてくれないの?」
 尋ねると、イワンは首を横に振る。前髪とキースのTシャツがこすれる音がする。
「疲れた?」
 イワンはまた首を振ったが、さっきより少しレスポンスまでの時間が遅い。
「眠いのかな?」
 今度は即座に首が横に振られる。それならYESということだ。キースは笑う。
「不安にさせたことは謝るよ、申し訳ない」
 返事は、しばらく返ってこなかった。次に聞こえたイワンの声は眠気が確実に混じってとろりと柔らかくなっていた。
「……一緒に寝たい」
 うん、とひとつうなずいて、少し前より長く深い呼吸を繰り返しているイワンの額にキースは唇を寄せた。


 酔った勢いでためこんでいたことを爆発させるのが<お約束>なら、その翌日にそれがまったく記憶に残っていないのも、また<ありがち>なことで――。
「うわぁぁぁああああああっ」
 こっそり帰ろうとするか絶叫するか。翌朝のイワンの反応について、胸の内で二者択一の設問を考えていたキースは思った。
 当たってしまったなぁ、残念なから。
「おはよう、イワンくん」
「あああ頭が痛いっ…って、うう…朝、おは、おはようござ、な…なんで隣に……何これ……夢?」
 二日酔いなのはキースも同じで、イワンの絶叫は頭痛によろしくないのだが、痩せ我慢で微笑む。
「痛いのって、頭だけ?」
「え?」
 イワンは恐る恐るアッパーシーツを持ち上げる。
 朝の光は白いシーツも通過して、その中に横たわるものをよく照らしていた。つまり二人の…
「えええ?! なんで何も着てないんですか、僕ら」
「いやぁ、だってそれはイワンくんが積極的に」
 せめて服を脱いで寝るのだと昨夜の酔ったイワンが強硬に主張したからだ。
「うそだ、こんなの…何も覚えてないとか……ようやく、それが、こんな……」
 このあとジャスティス・タワーでは『 congratulation!』の飾り付けがなされていたりだとか、赤飯を炊かれたりだとか、混乱の極まったイワンから『しばらく逢わないようにしましょう』と告げられて逆にキースが悶絶したりするのだが、それはまた別のお話である。


 ■ E N D ■
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Posted on 2012/08/18 Sat. 23:56 [edit]

category: SS(空折)

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