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新刊その2 8/26 ザ★ヒーローショウ2 

※ この同人誌は完売しました

2012/08/26、ヒロショ2での新刊のおしらせです。
スペースは、E-13a、「OKOnomy」での参加です。


『 アエカナアカシ 』  空/折 novel 全年齢向け
オフセ A5 44p 400yen 発行2012/08/26

08/18追記 : 表紙画像をUPしました。↓
aekana01
(表紙の紙色、選択ミスったかな…なんか秋っぽい;)

ちょびっとパラレルです。
キースはスカイハイですが、イワンは…フリーター。
それが、何の因果か開発の間に合わない《ロボット・ヒーロー》折紙サイクロンの「中身」を演じるハメに。
しかも、職場で出会った本物のヒーロー・スカイハイがロボットの折紙くんに恋をしている! と言い出して…

あらすじを読んでおわかり頂けると思いますが、けっこうアホらしい系だと思います…。


「続きを読む」には、1章の途中までをUPしてみました。

------------------

 ■ ■ ■ サンプルはじまり ■ ■ ■


アエカナアカシ


1.

「迫る~納期~♪ 地獄の催促~♪」
 替え歌を口ずさみながら、イワンは足を早めた。
 この先に行かないほうがいいことくらい、わかっている。でも、それくらいの見返りがあったっていいじゃないか、という気持ちもイワンの中にあった。
 だって、こっちだって命がけで戦ってるんだからな。ヒーローでもないのに。
 いや、一応ヒーローなのかな。僕が《折紙サイクロン》なのは事実なわけで…トップシークレットだけど。
 いやいやいや。イワンは首を振る。
 ヒーローっていうのは、大企業に所属してるじゃないか。それってつまり『勝ち組』だ。ランキングが常に下位だろうが、あんまり人気がなかろうが、お笑い担当なキャラやってようが、ヒーローってだけで勝ってるわけだ。勝ってるって誰に? だから、それをTVで見てああでもない、こうでもないって言ってる一般人にだよ。
「最近誰それってちょっとねー」って話題にしてる時点で、パンピーはヒーローに負けてるわけ。だって、ヒーローって仕組みがもうショウだから。気にしない、関わりあわない、っていう方法でしかヒーローには勝てないんだ。
おかしな理屈を頭の中で捏ね回しながらイワンは足を早める。今日はちょっと出るのが遅くなってしまった。いつもなら、あの人はもう着いている頃だろう。もう散歩コースを半周くらいはしただろうか。
 つまり、僕はヒーローなんかじゃない。
 イワン・カレリンはあの《折紙サイクロン》の中身なわけだけど。金融大手企業のヘリペリデスファイナンスに所属してるのはアイツであって、僕じゃない。
 僕は単なるアルバイトだもんな。バイトでヒーロー。アンケートで職業欄に「アルバイト」って書くんだから。笑える。職種を訊かれたら、何て書けばいいんだろう。サービス業? それとも俳優?
 いつもエチゴヤばりに扇子をヒラヒラさせながら『今日も大活躍でしたね』『次もよろしくお願いしますよぉ』なんてCEOが猫撫で声をかけに来るのは、折紙にであって断じて僕にじゃない。僕が折紙だなんて知ったら、あの線の細そうな若作りのCEOは泡でも吹くんじゃないだろうか。いや、もしかして金融系の人って結構肝が据わってたりして。それでもって、ブラックな方面の人とも繋がりがあったりして。扇子をパチンと閉じて、ヤッチマイナ、ってヤツですか。
 そうだよな、僕が一番先に消されるかも。それに、一番口を割りそうだしな。週刊誌とかに。『スクープ! 折紙サイクロンの中身はフリーター青年!』いや、やんないけどね。
そしたら、ガラテア工業の、あのトボけたオジさんたちも魚のエサだな。シュテルンビルト、海近いし。
やっぱりこれって、かなり危ない橋を渡ってるのかもしれない。なんか、流されてこうなっちゃったけど。
 だから、フェアじゃない方法で知った情報をもとにここへ通うのだって、それくらい構わないはずだ。本当に、個人的に楽しむためだけ…なんだから。
 視界に緑が増えていく。公園を囲む木々の緑。もうすぐだ。
 曲がり角にいつも店を出している、ワゴンのコーヒーショップでコーヒーを買う。最近暑いし、今日はちょっと急いで汗もかいたし、アイスコーヒーにする。
ここのコーヒー好きなんです、この公園の緑もなんか落ち着くんですよね、っていう口実のためだったんだけど、最初は。でも、本当にこのコーヒーは好きだ。あんまりお金にならないのに、どうでもいいことにこだわってそうな店主なのが、気に入ってる。自分と似たところがあるような気がして。
 等間隔に植えられた木を数えながら進む。プラタナス。木の名前を最近覚えた。この木の、変な形の実のことで、あの人と笑い合ってからだ。
 いつもと同じように、あの人は反対側からやってくる。今日もリードの先の金色の犬が、飼い主より先にイワンの姿を認めて、尻尾を振ってくれる。
愛犬の様子に気づいて、その後ろを歩く人も遠くからでもわかる笑顔を浮かべて手を振ってくる。ちょっと気恥ずかしくなるくらい、大きく溌剌と振ってくれる手。普段でも本当に変わらないんだな、と嬉しいような申し訳ないような、半々ずつのおかしな感想が浮かぶ。
 イワンも手を振りかえす。少し遅れて。いま気づきました、って見えるように。待ちわびていたようには、見えないように努力して。
「やあ!」
 何て明るい声なんだろう。こうやって声を張るとやっぱり似てる。似てるっていうか本物なんだけど。
 控えめな微笑を作って、イワンも挨拶を返す。
「こんにちは、キースさん。ああもう今晩は、かな」
「こんにちは、そして今晩は、だね!」
 おおお普段からこういうフレーズ使っちゃうんだ。いいのかな、気をつけなくて。街じゅうでみんなが使ってるから、いいのか。木は森に隠すって言うし。流行語は、本人も含めて流行らせておけ、ってことで。
「イワンくんは、仕事帰りかい?」
「あっ、はい」
 本当は今日一日何もしてませんでしたけど。
「そうか、お疲れ様!」
うわぁごめんなさい。労ってもらうようなことしてないんです。夜にジム行く予定です、一応。心の中で言い訳をする。
「じゃあ、仕事の後の一杯、だね」
 キースは笑って、イワンの手の中のペーパーカップを指した。イワンもそれを受けて笑う。
「アイスコーヒーですけどね。あ、えっと」
 イワンの目がベンチを見つけると、キースもうなずいた。
「私もいいかな」
「もちろん。あの、ちょっと飲みますか?」
「いいの?」
「そこで買ったんで。まだ冷たいですよ」
 キースは「ありがとう」と言って、イワンから受け取ったカップに口をつけた。今回の『ありがとう』は一回らしい。
このカップ、ネットオークションとかで高値になるよなぁ、とイワンは思う。無理か。顔出ししてるバーナビーさんならともかく。前に《バーナビーの食べ残したフライドポテト》って売りに出たんだよな、確か。証拠あるのか、って思ったけど、第一腐るだろ。いや、僕は売りに出しませんけど。
「ご馳走様」とカップが返ってくる。返されたアイスコーヒーを飲んだ。間接キス? まさか。ちゃんと少しカップは回した。だって、そんな度胸はないし。っていうか、悪い。
 それから、他愛ない会話が始まる。
 今日あったこととか。面白かったこととか。お互いに、少しはぼやかしたり、嘘を混ぜてるんだと思う。それか、言わないか。
 キースという人は、そっちだ。言えないことの多い日は、言わない。イワンの話に相槌を打って、微笑んで聞いている。イワンのように間に嘘を挟み込んだりしない。誠実な人だ、とイワンは感心する。
 だからイワンも適当に作り上げた昨日の出来事は話さないようになった。かわりに、昔あったことや、この間読んだ本とか観た映画とか、漠然と考えていることなどを話すようになった。それを、言えないことの多い日のキースは、穏やかに聞いてくれる。
 おかしなものだ。ある日イワンは思った。小学生のときに見た、幽霊かもしれない少女の話を、このずっと年上の人に話して聞かせた日にふっと気がついた。
 愛犬の散歩中だったキースと出会って段々と親しくなった。こちらは仕事帰りの(を装った)フリーターで、あちらは、いまをときめく『勝ち組』だ。そう、無関心にならない限り負けっぱなしになってしまう――彼はヒーローなのだ。
 それも、トップ君臨が歴代最長のキング・オブ・ヒーロー、《スカイハイ》の中身がこのキースという人だ。
 その人と夕暮れのベンチで他愛ない話をしている。
 向こうは、イワンが《折紙サイクロン》だということは知らない。というか、折紙に中の人がいるなんて思いも寄らないだろう。あれは科学技術の粋を集めた、ナントカカントカシステムってことになっている。
 この人が事実を知ったらどうなるだろう。イワンは空想する。怒るだろうか。ガッカリするだろうか。それとも、泣いたりしてしまうだろうか。とにかく、笑顔が消えるようなことにはならないようにしたい、とイワンは密かに願っている。
 なにしろ、この人は。
「イワンくん。昨日、また少し会話をしたんだよ」
「よ、よかったですね」
「そう言ってくれるのはきみだけだよ」
 キースはふっ、と息をついた。
「昨日は『それは実に楽しそうでござるな』と言ってくれたんだよ。本当に楽しげな声なんだ。想像力があるかのようにね。それなのに、同僚たちは皆、口を揃えて『そんなのに執心するのはやめろ』と言うんだ。言い方はそれぞれだけどね」
「はぁ……」
「ついに、これまではずっと無関心そうだった一番後輩のハンサムがね、『僕の知り合いって芸能関係になっちゃいますけど、あんまりあちこちイジってない、性格もそんなに悪くない女の子紹介しましょうか?』と声をかけてきたよ!」
「ええええっ、それは」
 羨ましい。いや違う。それはよろしくない。
「もちろん断ったさ!」
「そ、そうですか」
 そんなやりとりがされているとは知らなかった。あのバーナビーまで心配しているとは。しかし、その女の子のチョイスはどうなんですか、それが先輩に対するBBJなりの敬意の示し方なんですか。
「やはり、私はどこかおかしいんだろうか」
「そんなこと」
 そんなことある、とイワンは思っている。だって。
「おかしいのかもしれないな。機械に恋をしただなんて」
 キースは自嘲ぎみに笑う。
 そうなのだ。キース・グッドマンという人は、あろうことか仕事先で知り合ったロボットに、恋をしているそうなのだ。
 つまり、ヒーローのスカイハイは、ロボット・ヒーローの折紙サイクロンに。
 だから、スカイハイは、この僕に。バイトで、存在しないロボットの中身の演技をしているイワン・カレリンに片思いをしていることになる。


(後略)


 ■ ■ ■ サンプルおわり ■ ■ ■
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Posted on 2012/08/07 Tue. 21:55 [edit]

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