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空/折(?) ―― パーソナルアシスタント 《Ivan》 

パーソナルアシスタント・ソフトのイワンくん話。
SSというほどじゃないのですが、雑談とも言い切れず。
攻は人間、受が異種族ってスキなので。あ、でもカプってほどでもないです。

携帯電話のナビシステムと口頭でやりとりできる…って機能、
あれのパロディ&二次創作っていうのを拝見しまして、面白そう! と。

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わたし、全然ケータイ使わないんで(一週間に一度しか充電しないです、
って言うとみなさん、ものすごく驚かれます…ははは)
ピンと来なかったんですけど、スマホ持ちの方とお話したら、
自分がハッキリ話さないからかトンチンカンな行動をとる、と仰って
なんか急にかわいく思えてきてしまいました。


おじさんを助けてくれる、有能だけどちょっと嫌味なハンサムナビ、とか。
たまーにミスをして、指摘されるとスネるの。引きずるの。うわ、困る。

やたらとポジティブに励ましてくれる空ナビ…って逆にイワンは
たびたび打ち拉がれるかも…朝の目覚ましだけはすごく役に立ちそう(笑)。

ネガティブなナビってどうなのかな…持ち主が励まさなきゃいけないって
すげーな…。でも前述のスマホ持ちさんが言うには「役立たず」みたいに
罵ったら、謝るらしいんですよ(笑)。
「やればできるじゃん」みたいなこと言うと「もっと頑張ります」とか言うって。
っていうか罵らないであげて!


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パーソナルアシスタント 《Ivan》


 情報端末のディスプレイをタップする。
《お話しください》の文字が表示されたのを確認して、キースは口を開いた。
「おはよう! そして、おはよう!」
 ディスプレイには菱形の先を尖らせたような模様が現れ、それがくるくると回転する。
 それはシュリケンというものだそうだ。日本の武器、それもシノビと呼ばれた隠密兵士が使用した暗器らしい。
 なぜそんなものが情報端末の画面に登場するのかというと、それはキースが使用しているパーソナルアシスタント・ソフトが日本びいきだという設定だからだ。
 くるくると回る手裏剣が消えると、少年の3D映像が現れた。
 一見すると悪さでもしそうなストリートファッションを身にまとっているが、顔立ちは驚くほど整っている。
 そして、なぜかアシスタント機能として作動しはじめると、やけに控えめというか申し訳なさそうにナビゲーションをしてくれる。
「あの…おは、おはようございます……」
 プラチナブロンドの髪の先はあちこちに跳ね散らかっているし、挨拶の声もつっかえつっかえ。まるで本当の起き抜けのようだ。
 しかし、髪が跳ねているのは仕様だし、声のほうも回答によっては、日中だってこんな風に自信なさげにしぼんでしまう。
 パーソナルアシスタント・ソフトには何通りかの個性が付与されているらしく、たぶんこのキャラクターは母性本能をくすぐるようにできているのかもしれない。
 端正な美少年で、ちょっと不良っぽさに憧れはあるものの、引っ込み思案で自信なさげな性格。慎重なナビゲーションが基本だが《彼》の好きな――このソフトの個性であるところの、エキゾチックな話題には過敏に反応する。
 キースは元々ソフトに名づけられていたままの「イワン」と呼んでいた。ロシア人は陰気だというのはよく冗談の種にされるが、これだけ流通している商品として差別には当たらないのかな、とちょっとヒヤッとした。今となっては、この容姿もこの名前も気に入っている。他のものに変えられてしまっては困るのだ。
「アラームが作動するまで、あと十分ありますけど」
 アラームの設定時間が間違っているのでは、とイワンは尋いてくる。
「うん、アラームより先に目が覚めたんだ」
 というより、こちらから先に挨拶をしたいから起きているのだ。それに、アラームはイワンの声ではない。それが詰まらない。
「今日もいい天気だよ」
「今日の天気予報は晴れです。降水確率は……」
 人間ではないので、こうなってしまう。キースは言い直した。
「今日はいい天気で、とても気分がいいよ」
「キースさんが楽しそうなのは、僕も、その、嬉しいです」
「ありがとう」
「はい。えっと……こちらこそ」
 キースはクスッと笑みをこぼした。
 なぜ、『その』とか『えっと』だとかが加わるのかわからないが、そんなところも何だか楽しかった。
 同僚が使っているパーソナルアシスタントは、ブレザーの制服を着たブロンドの美少女なのだがちょっと険のある受け答えをするのだった。『前にもそれ訊いてきたわよね』とか『ああ、もうしっかりしなさいよ』だとか。
 でも手放しで褒めると照れるんで可愛いんだよ、と彼は言っていた。このソフトはツンデレ、なのだと。
 もう少し控えめな性格のほうがいいな、とキースは考えた。携帯端末をリニューアルするに当たって、新機能を導入する相談をハイテク機器に詳しい同僚にしていた折のことだ。
 じゃあ、と彼は黒髪の大人しげな女性の3D画像を呼び出して説明してくれたが、どうにもピンと来なかった。
 別の女性の同僚が『この子がいいんじゃない。あたしは向かなかったけど』と言って勧めてくれたのが、この《イワン》だ。
『えっ、男だよ、これ』『キースなら平気。あたしやアナタとは違うから』と言い合っていたのは、その場では意味がわからなかった。
 あれはつまり今にして思えば、パーソナルアシスタントは恋愛対象にするというわけではないが、やはり疑似的なパートナーなのだから、自分にとって魅力的な異性のほうがいいということだろう。
 まぁそういう選択肢もあるだろうが、愛くるしい女性に世話を焼かれるというのは、どちらかといえば気恥ずかしい。
 この、一生懸命でちょっとナイーブな雰囲気の後輩のような少年で良かった、と今は思っている。
 キッチンへ移動して、窓際に乗せたスピーカーに端末機をつなぐ。
「イワンくん、何か音楽を」
「はい。了解しました」
 ミュージックライブラリからランダムに音楽を再生してくれる。キースは朝食の準備に取り掛かる。
 最初にかかったのは、ちょっとメランコリックな曲だった。他の曲に変える。次もジャズ調のインストゥルメンタルだ。ムーディーすぎる気がして、他の曲をお願いした。
「ああ、そうだ、あれにしよう」
 曲名を告げると、イワンが申し訳なさそうに応える。
「お手間をかけさせて、ごめんなさい」
「いや、適当な依頼をした私が悪いんだ」
「今度から気をつけます」
 たぶん『いい天気で、とても気分がいい』とキースが言ったあとには、今流れ始めたような曲に似たテンポや歌詞の曲を選ぶように学習してくれるだろう。
 しかし、思わずキースは言ってしまう。
「気にしないでくれ。手を止めないで音楽をかけてもらえるだけで助かるよ」
 それがパーソナルアシスタントの仕事なのだと言われても、どうしても労いの言葉をかけたくなってしまう。
《イワン》をインストールしてから、以前よりは大事に端末機を扱うようになったと思う。
 音楽を止め、これも端末からラジオでニュースを聞きながら朝食を摂った。
「ごちそうさま。おいしかったよ」
「……え、僕は何もして、ないです」
「きみのおかげでおいしい朝食だったってことさ」
 しばらく返事がなかった。理解できないでいるのかな、と思うとこう言われた。
「そんな…勿体ないお言葉です……」
「こちらこそ! そして、こちらこそ、だ!」
 出掛ける用意をしていると、ピピピ、ピピピと機械音が響いた。
 会社から支給されている携帯電話だ。メールを受信したらしい。
「――メールを読み上げて」
 こちらにもパーソナルアシスタント・ソフトが入っている。大して使わないので基本機能だけだし、画面に出てくるのも標準の動物の画像のままだ。犬好きなので子犬を選択してはいるが。
 今日のスケジュールが一部変更になった旨の連絡だった。
 登録されている定型文を呼び出して、了解したと返事を送る。
「さあ、仕事だ! イワンくん、出かけようか!」
 取り上げた携帯端末に元気よく告げるが返事はない。
 最近のパーソナルアシスタント・ソフトにそうそうバグはないと聞いている。だから、あまり機械に詳しくないキースも導入を決めたのだ。
「イワンくん?」
「……僕が、あんまり役に立たない、から」
「えっ?」
「お仕事用には、別の携帯電話がないと……すいません……」
 忘れていた。
 この《イワン》は、持ち主が別の携帯端末を使っていると機嫌が悪くなるのだ。同僚の使っている『ツンデレ』少女もそういう性質らしい。
 機嫌が悪くなるというより、非常に自信を失い、卑屈さに磨きがかかるといったほうが良いのだろうか。
「まさか! あれは仕方なく持っているんだ!」
 以前、他のパーソナルアシスタント・ソフトについてのレビュー記事を読んでいたら、イワンがひどく拗ねてしまってキースまで困り果てたことがあった。
「きみの起動時間を計算したらわかるだろう? きみはとても優秀なアシスタントだよ」
「……う…はい」
「さあ、元気に出かけよう!」
「はい。もっとお役に立てるように、がんばります」
 うん、とイワンのその言葉にうなずいて、キースは部屋を出た。
 鍵を取り上げて、会社支給の電話を申し訳なさそうにポケットに滑りこませて。


 ■ E N D ■



 これ↑を書くにあたって、スマホとかまったくわかんないのはヒドイかなーと、
ようつべを覗いてみたら、アイフォンのパーソナルアシスタントとのやりとり動画を見つけまして。
「愛してる」って言うと「他の製品にもそうやって言うんでしょう」って応えるんですね!
すごいすごい、くすぐってくるなぁ!(笑)
もっとドキッとしたのは「何かお話しして」って言うと、自分の出生話をはじめたことです。
わたし、たまごっち(初代)にまじ泣きしたことがあるので、やばいです、瀕死です(笑)。


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Posted on 2012/07/21 Sat. 18:23 [edit]

category: SS(空折)

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