07 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 09

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Posted on --/--/-- --. --:-- [edit]

category: スポンサー広告

TB: --    CM: --

--

空/折 「 Baby One More Time 」 

A-K-B-L、これで一旦休止します(笑

思わずこのSSのタイトルがブリちゃんになってしまったくらいで、
別のを聞きたくなってきたので…
(そんないい加減さ…)

秋●●さんの歌詞を眺めていて感じたのは、そんなの入れていいの?!というような
トンガったこともアイドルに歌わせていくし、逆にベタを恐れてはいけないということ。
(失恋したら冬の海…って何曲あるんだぁぁあああ)

というワケで、ラブいカンジの痴話喧嘩(?)にしました。
あの曲から題はいただきましたが、別れ話系じゃないです!





 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 Baby One More Time



 遠ざかる背中を、そうさせまいと追いかける。
 後を追いながら、視界の中心にある彼の背中に自然と視線がいく。
 早足でどんどん歩いていくその背中は、いつもの猫背より少し伸びているようだ。
 伸びているというより、前方に傾いている。
 倒れそうには見えない程度の傾斜は、腹のあたりで何かを庇っているように見えなくもない。
 競歩のような速度で遠ざかる背中。走ってもいいのに、彼はさっきから同じ速度で歩き続けている。
 彼のお気に入りなのだろう、よく着ている刺繍入りのジャンバーの背中を後ろから眺める。
 そういえば、いつもは自分が彼の一歩半くらい前を歩いているのだと思い至る。
 背中には、着物の少女が立っていた。刺繍で形作られた少女。彼女もまた背中を向けている。
 橋の上に立って、少女はどこかを眺めている。何を見て、何を思っているのだろう。
 それから、彼も。
 ほんの数分前のことだ。
 突然くるりと背を向けて、何も言わずに早足で歩き出した彼も、いま何を思っているのだろう。
 前をゆく後ろ姿が、歩き出したときと同様に唐突に動きを止める。
 ホッと息を吐いて、歩みを緩めた。
 そのまま、ゆっくりと近づいてゆく。
 追いつこうとして、隣に並んでいいものか追い越して前に回っていいものか考えてしまう。
 すると、刺繍入りのジャンバーを着た肩が小さく上下した。息を吸い込んだらしい。
「……キース、さん」
 日頃のトレーニングの成果か、息は切れてはいなかった。だが、苦しげな声だった。
「イワンくん?」
 呼ばれて、呼び返す。また、イワンの肩が上下した。
「さっきの……何なんですか」
 抑えた声は、かすれていた。
「……すまなかった」
「謝れなんて、言いましたか」
 隣に並ぼうとして、足を踏み出すことを躊躇う。
 イワンの背中はすぐそこにある。追い越して、前に回ればいい。けれど、そうする意思がキースには薄い。
 顔を、見るのが怖い。
「怒ってるんだろうね」
 それも、当たり前かもしれない。
 さっき急に背を向けてしまう前に、イワンがどんな顔をしていたのか記憶にない。
 また、イワンの肩が浅く上下する。
 ゆっくりと、ぎこちない動きでイワンが首をめぐらせた。
 彼は、はじめて見る顔をしていた。
 どこかが痛むみたいに、わずかに眉を寄せて。
 何か言いかけてやめたように、唇をほんの少し開いて。
 疲れたような、困ったような、悲しいような、そのどれにでも当て嵌まって、どれにもぴったりとは合致しない表情。
 けれど、怒っているようにだけは、見えなかった。
 イワンは顔を前に戻して、そろそろと下を向いた。
 早足で歩いていたときは伸びていた背中が、また丸くなりつつある。
 キースはゆっくりと歩き出す。
 大きく五歩も進めば、イワンのすぐ後ろに並ぶことになった。
「……あんなの」
 イワンはうつむいたままつぶやいた。
「あんなの、困ります」
 躊躇いながら、キースは手を伸ばす。
「一瞬すぎ、て」
「うん」
 肩を抱こうとしてわずかに引いた手は、イワンの縮こまりかけた首の付け根に置かれた。
「何がなんだか…わからなかった」
「そうだね」
 跳ね散らばっている長めの髪に、そっと指を絡める。
「なんで……笑ったんですか、さっき」
 笑っただろうか。キースには覚えがない。
 でも、もしかしたら笑ったのかもしれなかった。
 緊張が解けて。もしくは、照れ隠しに。反射的に笑顔のようなものを彼に向けたのかもしれない。
「ふざけた、だけだから?」
「ふざけてなんかいなかったよ」
 その言葉を聞いて、イワンは細く長く息を吐いた。
「ふざけて…したことじゃないよ」
 そっか、と息遣いのような小さな声で言う。
 キースはプラチナに似た色の髪に絡めた指を握りこむ。
 髪が、地面を向いたイワンの顔を隠している。
 うつむいたままの、顔を見たい。
 白銀の髪が作るカーテンから最初に覗いたのは、色味の薄い唇だった。
 尖り気味の唇が、隙間を開けるのが見える。
「だったら、次は」
 もっと髪を脇に退けると、いつもは青白いくらいの頬が薄っすらと上気していた。
「準備…させてください」
「準備」
 鸚鵡のように繰り返してしまう。
 イワンは一度、唇を噛んだ。
 ついさっき、触れたはずの唇。
 会話が途切れて、視線がぶつかって。
 顔を近づけて、唇で触れた。
 ほんの一瞬、かすめるように。
「風みたいでした」
 少しだけおどけるみたいにして言う。
「ああいうところまで、風みたいじゃなくても、いいんじゃないですか」
 言い終えて、イワンは顔をあげた。
「……イワンくん」
「……はい」
 キースと目があうとコンマ数秒ひるむような色を見せたが、いつものようには視線を逸らすことはなかった。
「準備、できた?」
「えっ」
「いまなら、誰もいないみたいだけど」
 イワンは周囲を見回そうとしてそれをやめ、顎の先を少し上に向けた。
「……いいですよ」
 小さく息を吐いて、そろそろと瞼を下ろす。
「ありがとう」
 そう返すと、キースを待っていた唇がくすりと笑みをこぼした。
 そうして二人の唇が重なった。


 《 E N D 》






   あっという間だった
   風が通り過ぎたように
   目の前にあなたが
   一瞬 重なってた

   (略)

   もう一度キスして
   ちゃんと準備させて
   愛が感じられるように
   目を閉じるときまで
   あなたを見つめていたい

      『盗まれた唇』

スポンサーサイト

Posted on 2012/04/22 Sun. 16:35 [edit]

category: SS(空折)

TB: --    CM: --

22

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。