07 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 09

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Posted on --/--/-- --. --:-- [edit]

category: スポンサー広告

TB: --    CM: --

--

05/04新刊その2(完売) 

※ この同人誌は完売しました
『 Don't Stand so Close to Me 』 R18 空/折 novel
オフセ A5 36p 400yen 発行 2012/05/04

dontbook

表紙の色は、現物はもう少し薄いかなぁ…。
でもまぁ春らしくピンクなカンジです(笑)。

新刊その1、はパラレル空/折なので…こちらは頑張って
ラブコメ空/折(?)というか全力でもだもだしたりいちゃいちゃ
したり…というお話にしてみました。

おつきあいをすることになったはいいけど、距離感がわからず
関係の変化に戸惑ってしまうイワンに振り回され…てるようで
天然ていうかカラッと傍若無人…?なキース、というか。

入稿時に印刷会社さんの営業所のカウンターで社員のお姉さんから
「R18なら表紙に表記をお願いします」と言われてしまった(!)ので
「えっ、これってR18本ですか?!」という恥ずかしいやりとりののち、
表紙に貼るR18シールを作成してみました。ヌルいと思うけどなぁ。


「続きを読む」には、1章の途中までをUPしてみました。
ここに載せた分はまだR指定なシーンはありませんです(笑


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

(本編冒頭になります。)


1.



「……これって」
 イワンが口を開いて、すぐに言い淀んだ。
 途中で言いやめたのは、言葉にするべきかどうか迷ったわけではなかった。
 のどが嗄れてしまって、声がかすれて消えてしまったのだ。さっきまで、言語と呼べないような甘ったるい声を上げ続けていたせいで。
「『これ』?」
 イワンの隣でキースが片肘をついて上体を起こすと、自由になったほうの手を伸ばしてイワンの髪を梳いた。
 汗でこめかみに貼りついた髪を後ろへそっと撫でつける。汗はだいぶ引いて、プラチナの色の髪をひんやりとさせていた。
「ん、セックス」
 唐突な単語にキースの手は動きを止めた。
 眼球だけを動かしてイワンがチラリと見上げてくる。
「セックスって、すごくくたびれるんですね」
 どう応えていいのかわからなくて、キースは髪を梳く動きを再開させた。
 イワンは目を伏せた。瞼を半ばまで降ろす。
 無理をさせただろうか。
 無理かどうかというのなら、行為自体がイワンに負担を強いてはいる。
 腹を立てているようにも責めているようにも聞こえないが、自分がうまく読み取れていないだけかもしれない、とキースは思う。
 ほんの数か月前までキースには、イワンの言葉はどれも不機嫌そうに聞こえていたのだから。
 キースがなるべく明るく挨拶をし、世間話を振ってもイワンは小さな声でボソボソとうつむいたまま最小限の言葉だけを返してくるのだ。常に不満げに見えた。キースと話すことが面倒で仕方ないのだろうと思っていた。
 自分は彼にとってそんなに不愉快な存在なのかな、と寂しく感じさえしていた。
 ある日、イワンが声を裏返しながら仕事に関するアドバイスを求めてきた。そこでキースははじめて、イワンのあの態度が極度の人見知りと緊張のなせる業だったと知ることになった。
「過酷なトレーニングとかしますけど。別種なかんじ」
「疲れた?」
「ん……でも、すごくじゃないかも」
 そう言うと、イワンはおもむろにキースに近づくように寝返りを打った。距離は縮まったのに、うつ伏せになってしまったイワンの顔が見えなくなる。
 触れられたくないのかもしれないと思いながら、キースの手はイワンの後ろ髪を撫でた。制止の言葉も、そう見える動きもないので、キースの指が少し下がってうなじをくすぐる。
「シャワーは?」
 尋ねると、イワンは首をこちらに向けた。ほんの数センチだけれどキースに近づいてくる。頬がシーツを擦るかすかな音。
「バスルームまで連れて行こうか」
 キースが手を伸ばして裸の肩を抱いても、嫌がる素振りは見えない。
「え……うーん」
 イワンは一拍置いてから鼻声を漏らす。
「眠い?」
「眠れそうにないですけど。よくわかんないです」
 くぐもった声だ。躊躇しているのかうっとおしがっているのかキースだってよくわからない。
「あ」
 ピクンと体を震わせてイワンは顔を上げた。
「どうかした?」
「あの、もうベッドから出たほうがいいですか、もしかして」
「まさか」
 キースも驚いて上体を跳ねさせてしまう。
「そんなつもりはないよ。そう聞えたなら謝る」
 一体どこでそんな理解になったのだろうか。ベッドから追い出そうとしているなんて。できることならもう一度抱き合いたいと思っているくらいなのに。キースが慌てて告げた言葉にとりあえず納得したのか、イワンはまた頬をシーツにつけた。
 数秒おきにとろとろとイワンの瞼が上がり下りする。そのたびにちらちらと紫色の瞳が覗く。
 寝にくいだろうと、キースはシーツの上に伸ばした腕をもう一方の手で指した。腕枕だなんてイワンは嫌がるかと思ったら、意図を汲んだように頭を乗せてくる。
 本物の枕にするように何度か頭の位置を直してから、くすりと笑った。
「きっと耳の跡ついちゃうな、キースさんの腕に」
「寝ていていいよ。少ししたら起こしてあげるから」
「重いし退屈でしょう」
「君の顔を見てる」
「嘘だぁ」
 イワンは小さく鼻を鳴らした。笑われたのか呆れられたのか、キースにはよくわからない。
 笑わせようとしたわけでもないし、嘘でもないよ、とキースは言い繕おうとしたが、イワンは瞳を閉ざしてしまった。
大人の頭を腕に乗せているのは少しばかり窮屈だったし、数十分後にイワンが目を覚ましたときには耳の形が腕にくっきりと刻印されてしまったが、キースは退屈を感じなかった。
 ようやくこんなに近くで見ることができるようになった恋人の顔に幸福を感じていたが、それは寝顔を見せてくれていたイワンにとっても同じというわけにはいかなかったらしい。
 目を覚ましてシャワーを浴び、元の服に袖を通したイワンからキースが告げられたのは思いもよらない言葉だった。

――少し、インターバルをもらえませんか。

 数か月前に……必死に視線を逸らして小声で話していたあの頃に戻ったかのように、イワンは願い出たのだった。

――少しインターバルがほしいんです。キースさんとのこと。



 キースの家からの帰り道。
 好きだと言われた日のことを、イワンは思い出していた。
「きみが好きなんだ」と真正面から告げられた。
 その、ちょっと怖いようなキースの真剣な顔を見れば、どういう意味かすぐにわかった。信じがたいのとは別に。
 わかっても、イワンはいくつも質問を投げかけた。口頭試問のように。
 それってどういう意味ですか。
 本気で言ってるんですか。
 勘違いされてるんじゃないですか。
 手間のかかる弟みたいに思ってるんじゃなくてですか。
 キースの手が自分に伸ばされるのを、イワンは目で追っていた。
 肘の少し上を掴んできた手は、大した力ではなかった。
 だけど、振りほどけなかった。
 掴まれたのは左腕で、右手は自由だった。
 それでも、好きに動かせる利き腕で払いのけることもできなかった。
 引き寄せられたのか、キースが近づいてきたのかは記憶にない。
 気がつくと、イワンはキースの腕の中にいた。
 顔を上げることはできなかった。うつむこうとすると、頭でキースの胸を押すような恰好になった。前髪が額につくのがわかる。その向こうにはキースのTシャツの胸。
 おずおずと息を吸うと、乾いた香りを感じた。他に何と言っていいのかよくわからない。よく陽に当てた衣類に似た匂い。呼吸を繰り返すと、少しシナモンに似た香りも混じって感じられた。これがキースの香りらしい。
 まさかフライトジャケットにTシャツで空を飛んでいるはずはないのにおかしいな。自分に会う前にドーナツでも食べたのかな。そんなイメージはないけど。イワンは小さく笑った。
 笑い声をあげたことをどう受け取ったのか、キースは腕をほどくとイワンの首の後ろに手を回した。
 キスは、二人の真ん中で交わされた。どちら寄りでもない、ちょうど真ん中で。
 二人して同じベクトルで望んだ証拠のように。
 もうどうしようもないな、というのがキスをしながらイワンの頭に浮かんだことのすべてだった。
 二人はあまり人通りがないとはいえ、ゴールドステージの閑静な住宅街を抜ける街路にいたのだ。
 そんなことも一瞬で、頭から消し飛んでいた。
「……イワン、くん」
 唇が離れて。その隙間にそそぎこまれるように名前を呼ばれた。
 熱のこもった、いつもとは違うキースの声に気づいて、イワンは大きく一歩、バックステップを踏んだ。
 驚いたような傷ついたような顔のキースがそこにいた。
「……あの」
 大きく開かれた瞳を見つめ返す。きれいな青い色だな、と場違いな感動を覚えた。
「あの、また…明日」
 しょうもないセリフに、イワンは自分で苦笑してしまった。
「あ、ああ」
 キースも我に返ったように応えてくれた。
 イワンは素早く一礼して立ち去ろうとする。
「あの、あとで」
 キースは慌てて声をかけた。さっき名前を読んだときとは打って変わって、随分上っ調子の声だった。
「あとで電話するよ。構わないかな」
「あー…はい」
 なんて返事だろうとイワンは自分でも驚いていた。ものすごく上から目線みたいな。
「失礼します」
 早足でその場を去った。
 キスなんて、するつもりはなかった。
 繰り返し好きだと口説かれている間も。
 唆されたとか、ましてや奪われたなんて考えてはいない。
 二人して、望んだことだ。
 するつもりはなかったけれど、したかったのだ。


(サンプルおわり。)

スポンサーサイト

Posted on 2012/04/16 Mon. 05:47 [edit]

category: オフライン

TB: --    CM: --

16

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。