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空/折「etude 2 」 (IF設定) 

キースはスカイハイだけどイワンはバーテンダー(一般人)、というパラレルです。
色々設定捏造してたり。これと同設定で別Ver.を5/4に本にする(…できる)はず、です。

前回のお話 : その1
(1話めから読まれたほうがいいと思います。)


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


キース(スカイハイ)×イワン(バーテンダー) その2



『BAR 鏑木』。
 虎徹の姓と同じ店の名。ここは彼の兄、村正の経営する店だ。
 L字のカウンターに8人かそこら。その後ろの空間に二つの小さなテーブルとそれを囲む席。どんなに詰め込んでも15人も入れば満杯になる、小さな店だった。
「あの公園の傍なんですか。身近に緑があるっていいじゃないですか」
 カウンターの隅でバーナビーがグラスを片手に会話を楽しんでいた。
「僕の住まいからは緑なんてほとんど見えませんよ。羨ましいな」
 会話の相手はカウンターの内側に立つ、ほっそりとしたバーテンダーの青年だ。明るくはない店の中で、肌の白さとプラチナに似た髪の色がすぐに目に入ってくる。
「夜なんて、けっこう怖いんです。風が強いと樹がザワザワ揺れて。もう大分、慣れましたけど」
 小首を傾げるようにしているのは、その様子を思い出しているからか。
「樹が揺れるところを眺めたのなんて、子供の頃以来していないような気がしますね」
 バツの悪そうな表情を浮かべかけた青年に、バーナビーは軽く手を振った。
「高層ビルの中で目覚めて、またビルの中で働いて…そんなふうに一日過ごしているうちに夜になると、今日の天気なんてどうだったかわからなくなってきちゃうんです」
「でもやっぱり眺めはいいんでしょう」
「僕の部屋ですか? 展望台とまではいきませんけどね。ぜひ遊びに来てください。先輩だったら歓迎しますよ」
「え、そんな」
「同い年くらいの友達なんて、僕みたいな境遇だと貴重なんです」
 にっこり、と音のしそうなほどの綺麗な笑顔を作って、付け加える。
「そうしたら、今度は先輩のお宅にもお邪魔させてください。半地下だなんて秘密基地みたいで恰好いいじゃありませんか」
 そんな、まさか、とバーテンダーは首を左右に振った。チラチラと白銀の髪が輝いて見える。
「あっ、でも、あの、バーナビーさん」
「はい、なんでしょう」
「僕のこと、先輩って呼ぶの…変ですよ」
「変じゃありませんよ。まぁ今年は無理そうですけど、大学で学び直したいと思っているんです。第一志望は先輩の通っている大学ですから。来年こそは本物の後輩になろうという、僕の決意の表れですよ」
 素早く片方の瞼を閉じるとこう言う。
「応援すると思って、許してください」
 顔出しヒーローにして、俳優にしてもおかしくない美貌の主のウインクつきのお願い事だ。パチパチと瞬きを繰り返す青年の色の白い頬が赤みを増した。
「そう言われちゃうと……」
「ありがとうございます、イワン先輩」
 微笑み続けるバーナビーと対角線の位置に座った客から注文が入る。はい、と答えてイワンはそちらへ向かった。
「……ほら」
 クルリと背後を振り返って、バーナビーは一段低くした声で告げる。
「こうすればもう住んでるところなんて大体わかったじゃないですか」
「バニーちゃん、ドヤ顔イクナイ。ハンサム台無し」
 カウンター席の後ろのスペースのテーブル席から虎徹は苦笑した。
 なぁ、と小さなテーブルを挟んで向かい合うキースに話を振るが、広い肩を縮こまらせる記録に挑戦でもしているかのように小さくなっている。
「……先輩且つ相棒としてはちょっと心配になるお手並みだけど」と虎徹が小声で付け足すと、バーナビーはフンと鼻を鳴らして向き直ってしまう。
 あのアルバート・マーベリックから「すべての会話は交渉だ。常に優位に進めるべきだ」と叩きこまれて育ったのがバーナビーだ。キースには悪いが、アルバイトのバーテンダー、つまりは田舎出の学生からならいくらでも情報は引き出せると自負している。
「いいですか」
 と、バーのドアを開けたキースを、一旦スツールから降りて出迎えながらバーナビーは目つきを鋭くした。
「たかがお礼の手紙に書いてあった程度のものを個人情報とは言いません」
 アポロン、ポセイドン双方の法務部が聞いたら問題になりそうなことを易々と口にする。
 アルバイト先…はもう知っている。住所、学校、そんなところじゃないか、とバーナビーは考えていた。
「いまから僕が聞き出してあげますから」
「バニーちゃん、メアドも?」
「勿論です」
 さっ、あなたたちはそっちへ、と指示される。
 バーに入ると、バーナビーが用意していた席というのは、カウンターにひとつとその後ろのテーブル席がふたつだった。
 カウンターにキースを座らせてやるのかと思いきや、虎徹とキースがテーブルのほうに通され、バーナビーはカウンターに陣取った。
 バーナビーはバーテンダーの仕事の邪魔しないように気遣いながら、自分の前に立ったときにはさりげなく話を振り、軽く自分の身辺の話題などを披露して興味を引いたりしながら、一杯目を飲み終わる前には大学と専攻と学生生活についてを聞き出し、二杯目を空ける前には大体の住所も特定していた。
 彼にしてみれば、マーベリックの耳にこんな下らない話を入れたくはないのだ。あの人に頼みごとをするということは、借りを作るということだ。キースは何もわかっていない。下らない頼みごとが後でどんな形で跳ね返ってくるか、どんなツケを払わされるかわかったものじゃない。
 虎徹はニヤニヤしながら「ガキのときにこういう友達いたら便利だったろうなぁ」と唸っている。
 はぁぁぁぁぁ、とやけに長いため息が聞こえた。キースだ。
 あまりに長く息が続くもので、虎徹はNEXT能力を使っているかと疑ったくらいだ。
 しょげるポーズの研究でもしているかのような、肩を落とした姿勢のままキースはテーブルの天板に向かってつぶやく。
「……部屋に、招こうとするなんて」
 なじるように言うわりには、テーブルに視線を据えたままなのが気味が悪い。虎徹がフォローする。
「行きがかり上だろうが」
「その上、あの子の部屋に…押しかけようなんて……」
「お招きいただこう、でしょう」
 バーナビーが聞きとがめて振り返る。
「OKが出ればラッキーくらいの気持ちで言ってみればいいんです」
「それでNGなら?」と虎徹。
「態度にもよりますけど。脈がないなら一旦退きます」
「淡々としてんのね」
 虎徹がおどけて唇を歪めた。バーナビーは肩を竦めて背中を見せる。
「でも、本当に気になる人には何も言い出せなかったりしますけど」
 小さなつぶやきは手の中のグラスだけが聞いているようだ。
 カウンター席の客に酒を出したあと、そちらで話相手になっていたイワンが片付けがてらテーブル席のほうにやってきた。
 キースはほとんど減っていないグラスを持ち上げるとフイッと壁の方を向く。授業中に当てられたくない劣等生のような態度だ。
「バラバラのお席で申し訳ありません」
 さっきバーナビーと話していたときより、少し硬い調子で言う。
 バーナビーに打ち解けているというよりは、カウンターの外側にいることで緊張してしまう性質らしい。
「いいって。閑古鳥が鳴いてるよりゃ全然マシ」
 虎徹は顔の横で手を振った。兄の店なのだ。
「何かお持ちしますか」
 虎徹がグラスを軽く振ると、酒がわずかになったせいで氷の音が目立って聞こえた。
「そうだな、次はラムにしよっかな」
 メニューを取りに戻ろうとするイワンを虎徹が引き止める。カウンターの奥に見える作り付けの棚に並んだボトルを眺めて選ぶことにしたようだ。
 兄ほどではないが、虎徹もやはり酒は好きで詳しいのだ。
「セント・エティエンヌはな、ちょっとスパイシーでビターだしな」
 ふんふん、と弾ませていた人さし指を止める。その先には赤い屋根の平屋建ての屋敷がラベルに描かれたボトル。
「やっぱクレマンにしよ。ウィークディの折り返しのおじさんには優しい味が必要でね」
 とげとげしさがなくて優しい味なのだ。余韻も豊かでコクのある甘みが口の中で続く。
「かしこまりました。マルティニックお好きなんですか」
「最近ね。ラムって昔はジュースで割るもんかと思ってたけど」
 飲み友達のアントニオがラムにハマり出してから、その受け売りなのだが。注文した酒の隣に並ぶボトルを指して言う。
「お。ラ・マニーもあるんだ。うーん、でもやっぱり今日はクレマンにするわ。ロックで」
 唐突にバーナビーが振り向いた。
「あれ美味しいですよね。サラサラッと入ってくるのに長いフィニッシュで。3年物でも既に10年くらい寝かせたモルトみたいな味わいがして」
「バニーちゃんはワイン派かと思ってた。何にでも詳しいんだな」
 虎徹も感心した声を出す。
「ミスタ・ダイクンが飲んでいたので」
 サラッと口にのぼらせた人名に、カウンターの内側に戻りかけていたイワンが驚いて足を止める。
「えっ、そんなの知ってるんですか」
「あ、やっぱり先輩もご存知なんですね」
 しかもバーナビーはあえて分かりにくいほうの名前を挙げたのにすぐに反応したということは、イワンはかなり本格的だ。
「そこからマルティニックに入ったクチなんです」
「すごい…意外です」
 イワンは少し興奮した面持ちで言う。
「え? 共通の知り合いがいんの?」
 虎徹が目を丸くするのに、バーナビーが首を振った。
「有名人の話ですよ。男の子が大好きな」
「男の子が好きな有名人? スポーツ選手とか?」
 某ロボットアニメの敵役なのだが、サブカルチャーに疎い虎徹にはわからない。
 バーナビーがニヤリとすると、イワンも小さく笑みを浮かべる。
「では、少々お待ちください。失礼します」
 イワンはバーテンダーの顔に戻ると、会釈とともにカウンターの内側に帰っていった。
「バニーって、マジで死角ないよな」
 虎徹はふぅっと息をつく。
「……でさ」
 テーブルの向かい側のキースに声をかけた。
「なんで何も喋んないんだよ」
 イワンが去っても、キースはまだ壁の方を向いている。
 バーナビーのように口が達者なわけでも話題が豊富なわけでもない。
 虎徹のように誰に対してもフランクに話しかけられるわけでもない。
 イワンと話してみたいとは思う。何を話したらいいかは分からないが、彼が耳を傾けてくれたり、うなずいてくれたり笑ってくれたりしたら嬉しいだろうと思う。
 虎徹に連れられてこの店にやってきて、カウンターの中に立つイワンに出会った。
 ヒーローとして助けた相手とプライベートで顔を合わせるというのはおかしな体験だった。
 混乱し、怯えた顔をしていたはずの彼が、ここでは酒や料理を出したり、話をしたり微笑んだりする。
 それを間近で見ながらキースは、自分のNEXT能力があったから、自分がヒーローをしているから、そこに彼が立っているのだ、彼が普通の生活に戻れたのだと思えた。得意な気分や思い上がりがまったくないとは言えないが、驕りというよりはむしろその偶然にキースは畏れのようなものを強く感じた。
 イワンがさして器用とは言えない手つきで、けれど誠実そうに手順を踏んで酒を作るのを眺めているのが楽しかった。
 たぶん笑顔を作りなれていないらしくて、イワンは会話の途中で周囲とちょっと違ったタイミングで笑う。愛想笑いではないその笑みが浮かぶのを見るのが好きだ。
 まだマトモに話すらしていないのに、もしその笑顔が自分にだけ向けられたら、と考えるのはおかしいだろうか。
 それ以上を望むことは、よくないのだろうか。
「ってか、オイ拗ねんなよ」
 考えこんでいるのをヘソを曲げたと受け取ったらしく、虎徹がとりなすような声になる。
「何を言っていいのかわからない」
「何でもいいだろ」
「相槌を打ってほしいわけじゃないんだ」
「じゃあ、さっきのバニーちゃんみたいに質問すれば」
 そういうことじゃない。そう思ったが、うまく言葉にできなかった。
「……仲良くなりたいんじゃねーの?」
「わからない」
 バーのカウンター、その板切れがなくなっただけで硬くなる相手なのだ。不用意なことをしたら全速力で逃げ出されてしまいそうだ。それよりはいっそのこと、このままスツールの上から眺めていたほうがいいのかもしれない。
「んなワケねーだろ」
 虎徹がサッと席を立つと手を伸ばして、キースのフライトジャケットの内側に手を突っ込んできた。
「――あ」
「コレ何だよ。さっきタクシーの中でもゴソゴソやってたよな」
「か、返してくれ」
 出したり仕舞ったりを繰り返したのだろう、皺が寄ってハリのなくなった封筒。
「だぁーめ」
 虎徹が皺だらけの封筒から引っ張り出したのは、こちらも皺だらけの二枚のチケットだった。
「ん? カブキ? へぇ、あのでっかいホールで日本の歌舞伎やんの? バルコニー席? なんかオペラみてーだな」
「貰い物だよ」
「あ、スポンサー枠? ……で? デートに誘いたいんじゃねーの、これ」
「ワ、ワイ…いや虎徹くん、しーっ!」
 向こうから、虎徹の頼んだ酒をトレイに載せて、イワンがやってくる。
 虎徹からチケットを奪い返すべきか黙っていてくれと頼むべきかキースが迷っているうちに、広くはない店内をイワンは横断してきてしまう。
「お待たせしました」
 イワンがグラスを虎徹の前に置いて空になったグラスをトレイに載せる。虎徹はにっこりと笑って手の中のチケットを一枚抜いて、トレイの上に置いた。
「え、あの……?」
 何だろうという顔でイワンはトレイの上の皺だらけの紙切れに視線を落とす。
「こういうの興味ある?」
「カ…ブキ……?」
「若い子は興味ねーかな。日本の伝統芸能で、オレも日系の割に詳しくはないんだけど。エキゾチックっていうか、一見の価値はあるかも」
 イワンはゆっくりと顔を上げた。珍しい紫色の瞳をパチパチと瞬く。
「これ、虎徹さんが……?」
「いや、こいつ」
 虎徹は立てた親指をキースに向けた。
 その指の動きに釣られるように、イワンがそろそろとキースのほうを向く。
「貰い物なんだっけ?」
 さっそくアグリコール・ラムを傾けながら虎徹が言った。
 向かいの席からの反応がないので、付け加える。
「おい、何とか言えって」
 すぅっと息を吸う音がして、キースは顔を上げた。
「――そのチケットは勤め先からの貰い物なんだ。立場上、どうしても外せない用事でもない限り鑑賞したほうが良いと言われていてね。私自身はあまり東洋の文化に詳しくないんだが、勿論まったく興味がないというわけではなくて、元になる知識もないし取っ掛かりもないから今まで近づかずにいたというだけで、何となく面白そうだというイメージくらいはあるんだよ。チケットは二枚あって、君は確か日本文化を学んでいるとか自主的な有志の研究会に入っているとかそんなことを手紙に書いてくれ…いや、何かの拍子に話してくれたように思うんだが、いや違うかもしれない、私の思い違いのような気がする。それは別の誰かの話だったかな。ああ、とにかく私にはこういうことに興味のありそうな友人がいなくて、もし、もしもだけれど、君が観てもいいかなと思っているなら…それに都合がよければの話だけれど、一緒に観劇をしてくれたら有り難いんだけれど、どうだろうか?!」
 一息で言いきったキースに虎徹が「なげー」と、バーナビーが「うわぁ」と、それぞれボソッとこぼした。
 イワンはトレイの上のチケットと言い終えて肩で息をしているキースを見比べていた。
「え、あの……いいん、ですか?」
「いい…というと……」
「僕、ここで日本文化に興味があるなんて言ったかおぼえてないですけど、それたぶん僕のことだと思います。そうなんです。大学でも有志の集まりに入っていて。日本から歌舞伎が来るってニュースで聞いたときからすごく観てみたかったんです! それにこれ< Mittelloge >って…二階のバルコニー席ですよ! 一番いい席ですよね?! 公演自体、すぐに完売って聞いてるし、第一、貧乏学生にこんな高価な席、手が出ないです! 本当にいいんですか?!」
「え?! 一緒に行ってくれるのかい?!」
「ええ、嬉しいです! ありがとうございます!!」
「こ…こちらこそ、ありがとう! そして――モガッ…!」
「え?! だ、大丈夫ですか?!」
 某ヒーローの決め台詞を、それもそっくりに披露してしまいそうになったキースの口に、虎徹がビーフジャーキーを突っ込んだのだった。オロオロとするイワン。
 奥のテーブル席から会計を頼まれ、イワンは会釈するとそちらに飛んで行く。トレイの上のチケットを回収しながら。
 イワンがカウンターの中に戻って、奥の席の精算をするのをキースは眺めていた。
「……ああああ」
 小声で囁きながら、キースはテーブルに突っ伏す。虎徹がギョッとした。
「何だよ、お前そんなに飲んでないだろ」
「ついに私は倫理にもとることをしてしまった!」
「はぁ?!」
「おめでとうございます」
 バーナビーが振り向いて小声で言う。
「キース・グッドマンがヒーロー・スカイハイに勝利したんですね」
 虎徹は意味がわからないと落ち着かなげだが、その相棒にはキースの落胆の意味が分かっていた。
 イワンが日本文化に興味があるというのは、この店でキースに話したことではないのだろう。たぶん、自己紹介のような形でスカイハイ宛のファンレターに書いてあったのだ。
「困ったよ……ワ、いや虎徹くん、私は嬉しいんだ」
「なんで困るの? デートの約束取り付けたんだから嬉しくて当たり前じゃね?」
「いや、喜んだりしてはいけない! こんなことで喜ぶなんて……」
「おー何、並んで芝居観るくらいじゃダメだと。どんどん先に進めたいって、そういうこと?」
 虎徹とキースが微妙に噛み合っていない会話を繰り広げている。
「ここで喜んで彼の顔を眺めているなんて、真っ当なことじゃない! 私は失礼するよ!」
「……はぁ?! 何だそりゃ?!」
 大体の金額をテーブルの上に置くと、キースは立ち上がった。
「ちょ…ちょっと、今からあの子の手が空いて、そしたら話が弾む時間帯じゃねーか?! バニー、止めろよ」
「うーん。いいじゃないですか。この人にしては上出来ですよ」
 半分呆れたようにバーナビーは背を向けたまま肩をそびやかした。
「では、失礼するよ! 今日は連れ出してくれて、ありがとう! では!」
 NEXTを使ったわけではないのに、それこそ風のようにキースは去って行った。
 カウンターの中からイワンが「あれっ」という顔を見せたが、間に合わない。
 仕事が一段落したイワンは虎徹のテーブルにやってくると、さっきのチケットを広げた。
「……さっきの方の…キース、さんでしたっけ? 僕、連絡先を知らないんですけど、いくら何でも当日この時間にこの席に行くわけにもいかないし…どうしたら……」
「ああ…だよねぇ」
 肩を落とした虎徹がキースの連絡先をイワンに教え、イワンからの突然のメールにキースが半ばパニックになるのは、翌朝のことだった。


(その3 ≪デート編≫ につづく……? かもしれない。) 



 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


 キャスバル・レム・ダイクン (Casval Rem Deikun)は、シャア・アズナブル (Char Aznable) の本名です(笑)。
 有名な「……坊やだからさ」のシーンでバーのカウンターで飲んでいたのが マルティニック島で作られるラムの LA MAUNY だそうで。
 イタいオタクのわたしは、カウンターが素敵なお店で LA MAUNY があると、一人ガンダムごっこをしてしまいます。(……オタクだからさ)





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Posted on 2012/03/22 Thu. 22:55 [edit]

category: SS(空折)

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