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空/折 「手に 手を」 R18 

空←折、かな?

そんなにEROくないですけど、いわゆるひとりエチ-があるのでR18ってつけときます。
イワンくんが変です、っていうかこの話の方向性が変です。。。
ギャグなのかシリアスなのかも自分でわからない。。。

あとのパラグラフは蛇足、かも。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


手に 手を


 事の発端は、インターネットのQ&Aサイトだった。


 
■ 教えて!シュテルン >ライフ >恋愛・人生相談 >社会・職場

【 質問 】質問番号:5090603
職場の先輩を好きに(?)なってしまいました    役に立った:1件
質問者:jpnsukisuki  投稿日時:19**/10/01 19:56  困り度:(T_T)

十代後半、男性です。
職場の先輩を、どうやら好きになってしまったみたいです。
先輩は、一回り近く歳の離れた独身の男性です。
その人は仕事の成績トップで、でも偉ぶらない明るい人で、
ワーストが定位置の僕にもアドバイスをしてくれます。
最近、その先輩が気になって仕方ありません。
だけど、お恥ずかしながら彼女いない歴=年齢、その上
これまであまり友達もいなかったので、これが恋愛感情なのか
自分でもわからない体たらくです。
これが恋なのか過剰に懐いているだけか、どうしたらわかりますか?

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

【 回答 】(2件)

No.1
回答者:maya010 回答日時:19**/10/01 20:35

「過剰に懐いているだけ」かなぁ、と思います。
今までにいないタイプの先輩と仲良くしてもらえて、jpnsukisukiさんは
すごく今、充実してるのではないかな?
こういうことを相談できる友達もいないんだよね?
舞い上がって、せっかくの良い職場の関係を壊すことはないですよ。
「それなり」につきあっていくことも、職場では大事ですよ。

No.2
回答者:aka-ao 回答日時:19**/10/01 21:04

切実に悩んでいらっしゃるのに、こんな回答をしてお怒りになるかも
しれませんが、ズバリ 「 その先輩でヌけるか 」としかお答えできません。
品がなくてごめんなさい。でも、その先輩とキスできますか?
それから、エッチできそうですか? だったら、お付き合いできるように
努力されたらいいと思います。性指向は何歳でも変わるものだと思います。


■ この質問への回答は締め切られました

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 相談を書き込んだのは、イワンだ。
 食事とブログの更新を終えてから再度ログインしたサイトでこの回答を目にして、イワンは考え込んだ。
 端的に「その先輩でヌけるか」とアドバイスされている。「キスできますか?」「エッチできそうですか?」とも。
 正直、そんなことは考えてもみなかった。
 話しかけてもらえれば嬉しい。話していると時間を忘れる。一緒にいれば、帰りたくなくなる。離れていれば、また会いたくなる。
 なんだかこれって初恋をしているロゥティーンの子みたいだな、と思った。
 気づいたら、その考えが頭から離れなくなった。
 本物の、イワンの初恋は、クラスで一番の人気者の女の子だった。いつも大勢に囲まれてキラキラと笑っていた。
 彼女を遠目から眺めているだけで、イワンは満足だった。
 話したのはたぶん一度きり。日誌を書いていた彼女が顔を上げて「ねぇ、今日何曜日だっけ?」と誰にともなく尋ねたのだ。目が合ったイワンは「木曜日」と反射的に答えた。ありがとう、と言おうとして彼女はカレンダーを振り返った。「嘘つき」と言って笑った。今日は水曜日だった。イワンは緊張して間違えたのだ。
 少ししてその女の子は転校していってしまった。きっと別の学校でも人気者になっただろう、と思う。
 それから、あんまり自分は進歩していないな、とも思う。
 みんなの中心にいていつもキラキラと笑っている人。いまも、そういう人に心を動かされている。
 相談内容に出てくる、相手の先輩というのは、スカイハイことキースだ。
 キスくらい、できるのではないか。現実にするかどうかではなく、抵抗感の有無の話だ。
 キースは整った顔をしている。話しているとすぐに笑み崩れてしまうが、ジムで見かける、集中して走っているときやマシンを動かしているときの顔は、ハンサムの部類だ。
 ちょっと太めの眉。目尻が垂れた、でも大きな目。スッと伸びた鼻筋。口は大きいほうだろうか。大きく口を開けているところをよく見かけるからそう思うのか。
 みんなで撮った写真でもなかったかと考えて、ハッと気づく。
 写真どころか、立体のキースをここに呼び出せるではないか。
 イワンには擬態の能力がある。
 子どもの頃ならともかく、ここ何年も遊びで使ったことはないが、やればできる。
 少し逡巡したのちに、イワンは立ち上がると軽く目を閉じた。
 手にくらい、キースになら何度もふれたことがあった。
 イワンの体が青白く発光する。
 目を閉じたまま、全身を映す姿見の前へ行く。瞼を開ける。
「ああ……」
 イワンは小さく声をあげた。その声はすでにキースのものだった。
 普段よく見かけるキースの姿、青いフライトジャケット、白いTシャツ、ブルージーンズにスニーカーだ。
 イワンの部屋は畳敷きなので、本当ならスニーカーは脱いでもらいたい。いや、これは自分自身なのだから脱ぎたい、か。
 けれど、それは無理な相談だった。
 擬態した状態で服を脱ぐことはできないのだ。
 その事実に気がついたときは驚いたものの、考えてみれば当たり前のことだ。
 例えば、イワンが本になったとする。そのページを一枚でも破り取れば、擬態を解いたイワンは負傷しているだろう。
「仕方ない、か」
 イワンがつぶやくとキースの声がする。おかしな感覚だ。
 サッサと済ませてしまおう、とイワンは鏡に顔を近づける。
 この顔とキスできるだろうか。現実問題ではない。抵抗感が湧くかどうかを確かめるのだ。
 イワンは…キースの顔をしたイワンは、鏡に顔を近づけた。
 唇は割と厚みがある。笑っていなくても、口角が少し上がっているような形。
 瞼を少し落とす。キスをするときの表情になるように。
「………」
 イワンは目を開けた。鏡の中ではキースが目を開けて、唇を突き出したまま瞬きをしている。
「なんか……変」
 イワンは唸ると、両手で目を覆った。脳内で今の顔を反芻する。
 今の顔が近づいてくることを想像する。悲しい事実だが、キスをしたことはない。アカデミーで酔っ払った拍子に男同士で唇をぶつけあったことくらいあるが、あれは数に入らないだろう。
 5センチくらいの距離にまで近づいてきたら、目を閉じてしまってもいいものなのだろうか。
 アップになるキースの顔。うえっ、とかそういう感想は特に湧いてこない。
 では、やっぱり恋をしているんだろうか。瞼を開けて鏡を覗く。そこにはきょとんとした顔の、キースが映っていた。
「やっぱり、なんか……」
 我に返ると、キースが見つめ返してくるのだから、何とも言えずおかしな感覚だ。
 嫌悪感が湧かないことは確認できたが、ドキドキするとかウットリするかどうかまで確かめづらい。
 それから次は、「その先輩でヌけるか」ときた。
 イワンは一度、擬態を解いた。
 ちょっと想像してみよう。まずはキースと一緒にいるところを思い浮かべる。
 キースの部屋には一度、行ったことがある。キースの愛犬、ジョンの散歩につきあって、お茶でもどうかな、と言われたのだ。
 映画のDVDがけっこう並んでいたが、趣味はバラバラだった。不思議そうに眺めていたら、キースが「もらったものばかりなんだ、欲しいものがあったらあげるよ」と言ってくれた。喜んでそれに従った。
 もちろん、ウットリするような、キスを迫られるような雰囲気は微塵もなかった。
 まぁいい。とくかく二人きりのシーンを想像する。
 ソファに並んで座っている、とする。いつの間にか、キースの手がこちらに伸びてくる。顔を上げたときには抱き寄せられていて、そして――
 うーん、とイワンは考え込んだ。
 いつだってキースはハキハキと大きな声で話すし、愉快そうに笑うし、そんな場面は想像しがたいのだ。
 いや、そういうことじゃない。僕が嫌悪感を感じるかどうか、確かめられればいいわけで。
 でも、ヌけるか、ってことはまず、勃つかどうか、ってことだろう。そこに至らないのだ。
 とにかく、自分で自分を高めてみよう、とする。
 別に、今そういうことをしたい気分ではないのだが、仕方がない。
 床に腰を下ろした。鏡から目を逸らす。ベルトのバックルを外して、ジッパーを引き下げて。
 目を閉じて、キースを思い浮かべようとする。
 だけど、とイワンは思う。あの人はいつも天真爛漫で、なんだか、そういうことに向かない気がする。
 向くも向かないもないのだが。成人男性なのだし、経験がゼロってことはないのだろうし。でも、色っぽいムードになんかなるのだろうか。
 かなり失礼なことを考えているが、本人は真剣だった。
 すごく明るく、大好きだよ愛してる、って調子でキスしたりするんだろうか。
 下着の中に手を突っ込んだまま、考え込んでしまう。
 そろそろと手を抜いた。じぃっと指を見つめてしまう。
「……あ」
 イワンは妙なことを思いついた。
 一度、カーゴパンツを元に戻して、鏡の前に戻る。
 姿見の上半分に布をかけた。その前に座り込み、視界を確認する。
 イワンの喉が鳴った。思いついたこと、それ自体にちょっとクラクラする。
 軽く目を閉じると、意識を集中させた。今度は、青白い光はイワンの右腕だけを包んだ。


 床にしゃがみ込んだイワンの臍から下だけが、鏡に映っている。
 鏡に映る範囲の外から、ゆっくりとイワンの腹のあたりに右手が伸ばされた。
 もう外れているベルトのバックルの上を、確かめるように指が撫でてくる。
 イワンは左手を伸ばして、その手の上に重ねた。
 下になった手と、イワンが伸ばした左手は色も大きさも違う。指も太く、長い。
 左手は、下になった右手を掴むでも、払いのけるでもない。
 そのうちに節くれだった指がカーゴパンツの前立てに触れる。人差し指と中指がゆっくりと、その短い縦のラインを往復する。
「……っ」
 イワンは鏡の中を見つめた。
 慌てたように、ジッパーを指で抓もうとしている右手の、手首にイワンは左の手をかけた。
 それでも、押し返そうとはしない。ゆるく指を自分のものより太い手首に絡ませるだけだ。
 右の手は、色の白いイワンの左手の指に絡みつかれたまま、ジッパーを引き下げる。半ばまで開いたそこに、指を差し入れる。
「う…」
 右手は人差し指だけで、ちょんちょん、と中で待っているものに軽く触れる。
 下着ごしに熱をもった器官が頭をもたげているのがわかる。
「ん、ぅ……」
 イワンは唇を噛んだ。これで…勃った、って言っていいのだろうか。
 憧れの「先輩でヌけるか」という設問に、イワンは取り組んでいた。
 今度は、右手の肘から先だけをキースに擬態したのだ。
 肘から先が急に筋肉がついて太くなって、肌の色も変わっていくというのを肉眼で見てしまうと、けっこうグロテスクだった。
 だから、鏡に映すことにした。
 肘の手前までジャンバーをまくりあげて、鏡の外から腕を差し出すようにすれば、まるで他人が自分の体に手を伸ばしたようだ。
 ベルトのバックルは外しておいた。いくら利き腕でも、片手では外せないからだ。
 右腕以外はイワン本人なのだから、うっかり呻いてもキースの声が聞こえて、不思議な感覚になることもなかった。
 背後から抱きつかれているようにして、手だけで愛撫されているように見えなくもない。
 どうやって右手を動かすかは、もちろん自分で考えているのだから、その感覚も予想できるはずなのだが、指の太さも長さも違う。他人に触れられているような、でもその動きは知っているというおかしな感じだった。
 そう思って鏡の中を眺めていると、また、下半身が熱を高めるのがわかった。
 証明されたなら、もう終わりにしようと思った。
 でも、この熱自体は解放させたい。
 だったら、そうすればいい。擬態を解いて、いつもみたいに。
 右手が…本来のイワンの手には見えない手が、ジッパーを最後まで引き下げる。
「あ……ゃ…」
 思わずそう言ってしまった。嫌も良いもない。自分でしているのだ。
 嫌だとつぶやきながら、イワンは少しだけ腰を浮かした。何だか、別の誰かに協力しているような気がする。
 その先輩なら、こんなとき何て言うんだろうか。
『あれ、嫌なんじゃなかった?』と笑うだろうか。
『かわいい』と言ってこめかみにでもキスを落としてくれるだろうか。
 いやいや、まだ何も発展してないから。勘違いするなよ、自分。
 これって「先輩でヌいている」ことに、なるんだろうか。
 回答を寄せてくれた人は、まさかこんな方法を取るとは思ってもみないだろう。
 右手の指がボクサーパンツの布地を押し下げて、そこから弾み出たものを隠すみたいにして覆う。
 いつもとは全然感覚が違う。ひたり、と全部を包みこんでくる大きな手。
 右手が動く前に、腰が揺れていた。
 NEXT能力を発現させるには集中力がいる。能力を発動し続けるのにも、だ。
 いつまでこの右手は保つのだろう、と思った。
 イくときまでには擬態は解けてしまっているだろうか。
 そうしたら、たとえ偽物でもキースの手を汚さないで済む。
 イワンは薄目を開けて、自分のものを扱く指先を見つめた。


 転機は、あっけなく訪れた。
 ゴールドステージの、どこまでも整えられた遊歩道。
 ジャスティスタワーからの帰り道、途中まで一緒に行こうとキースに言われたのだ。
 このところ、イワンはキースを避けていた。
 あれから二週間。
 イワンは鏡の前での部分擬態をやめられなくなっていた。
 鏡に映すと、現実味が薄れた。
 勃たせて、包んで、追い上げる手。
 キースの手にそっくりの、けれどイワンの意思で動く手。
 直接的に性器を弄らせるだけではなく、タンクトップの裾から擬態した手を滑り込ませもした。
 視覚に訴えない方法はどうかとも思ったが、触角だけでも、やはり自分の手ではないように思えた。
 キースにそこだけ擬態した手で、ゆっくりと腹を撫でて脇腹を辿り、もう少し上へ進む。
 普段の自慰のときはそんなことをしないのに、その指で乳首を捏ねると感じるチリチリとした痛みが堪らなかった。
 ときどきは、左手で掴んで口元に引き寄せると、指先を甘く噛んだ。
 背後から、たしなめる声かクスクス笑う声が聞こえてきそうに思えた。
 聞こえるはずがない。イワンは一人で部屋にいるのだ。
 それでも、キースのものそっくりな指先に歯を当てるとき、キースの声が聞こえてこないのが不思議なくらいだった。
 イワン自身、自分のコレクター気質には気がついていた。
 最初はキースを恋愛という意味で好きかどうか、それを確かめるために始めたことだ。
 これは「先輩でヌける」というより「先輩の手でヌける」ってことなのではないか。
 それが、部分擬態をした手で遊ぶことのほうが、目的のようになってしまっている。
 擬態した右手……それひとつだけでどこまで楽しめるかを追求しているような。
 手、だけだ。
 イワンはそう思おうとした。
 だけど、自分の体を這い回らせていたのとそっくりな手を、自分の部屋以外で見かけると居たたまれなくなった。
 みんなと談笑しているキースから必死そうに目を逸らすイワンを、当のキースは不思議そうに眺めた。
 人の輪の中心にいるキースを遠くから眺めるのは、今までは心地良いものだった。
 好きなはずの光景から目を逸らさないではいられない自分が、イワンは可哀想にさえ思った。
 自業自得だ。
 こちらを気にしてくれている素振りのキースにも胸が痛んだ。
 それでも、部屋に戻るといそいそと部分擬態とおかしな遊びを繰り返してしまう。
 どうしたら止められるのか。
 吐き出したものの処理もそこそこに、キースの手そっくりになっている右手を、左手に伸ばす。
 床の上で指どうしを絡みあわせた。右手の指で左手の指を丁寧に撫でる。
 自分でしているだけなのに、なぜだかひどく嬉しくなった。
 そして今日。
 等間隔に並ぶ街路樹の下を歩きながら、キースは心配そうに言った。
「このところの君は…どうしたんだい」
「どうって、どうもしてません」
 いや、どうかしている。イワンは胸の内で突っ込みを入れる。
 隣で揺れているキースの手を眺めてしまう。
「何かに悩んでいるの? ひどく、上の空みたいだ」
「そう、見えますか」
「見えるよ。それに」
 キースは一度言葉を切った。
「私もそうなんだ」
「それは、僕の」
 僕のせいですか、と言おうとして、イワンは飲み込んだ。
 そんなことがあるわけない。どうして自分のせいでキースが悩んでいるというのか。
 俯いて、といってもイワンの視線はキースの指先に向けられていた。
 イワンの視界の中でキースの手がゆらりと上がるのが見えた。
「ああ、そうだよ」
「え?」
 キースはイワンの手首を掴むと、告げた。
「君が好きなんだ」
 イワンは驚愕した。
 この二週間やってきてしまったことは、元はと言えば、本当にキースを好きなのかと確かめるためだ。
 それが、何だかどんどんおかしな方向に縺れていっている。
 それなのに。と、イワンは思う。
 君が好きだ、とキースは繰り返した。
 キースの声でその言葉を聞くと、中途半端に考えていたことは蒸発していく。
「このところ、君に避けられるようになって、目を逸らされるようになって。それでようやく気がついたんだ。君が好きだと。恋人になりたいという意味で、好きなんだ、私は」
「あの…僕、は……」
 イワンはようやく口を開いた。自分の手首の上に視線を落とす。
「手を……」
「ああ、手を」
 イワンはキースの顔を見上げた。
 いつもみたいな笑いは消えている。だけど、怖いとは思えなかった。
 泣き出す寸前みたいな思い詰めた顔をしていた。
「この手は」
 キースが、はじめて聞くような細い声で言う。
「私からは離せそうにない」
「え?」
「振り払っていい。いや、そうしてほしい」
「だ…って……」
 力が、強い。
 振り払っていい、と言われたけれど、できそうになかった。
 強い力で掴まれているから、だけではない。
 キースの手に触れられたことは何度もある。
 ああ違う。あれは、イワン自身の手だ。擬態をしただけの、イワン本人の手だった。
 イワンは自分の手首を握りしめている、キースの手を見つめる。
 この手は、どう動くかわからない。
 それから、キースの手を辿って、手首を、腕を、肩を、キースの顔を見つめる。
「……どうして、何もしないの」
 叱られた子どもみたいな顔つきで、キースが言う。
 イワンは、自分の手首を掴むキースの手を見つめた。
 そこにあるのは、本物のキースの手だ。
 自分だけのおかしな妄想ではない。
 キースが、しようとして、実行したことなのだ。
「キース…さんこそ……手を、つないでるだけ…ですか」
「イワン、くん?」
「その手は……手首を握りしめてる、だけですか」
 もっと別の場所に触れたくはないのだろうか。
 たとえば自分が、そう望んだように。
「ええと…それは、つまり」
 キースが裏返りかけた声で言う。
 イワンはキースの手から目を逸らす。
 自分のブーツの爪先を眺めて言った。
「ここじゃ、言えません」
 往来でなんて、言う気になれない。
 もっと、してほしいこと。何度も、自分の手でしてきたこと。
 キースの手がパッと離れた。そして、宙ぶらりんになったイワンの指に、指を絡ませてくる。
「どこでなら、聞かせてもらえるんだい」
「……さあ」
 この手がもっと、ずっと自分を蕩かせてしまったら。そのときは、言うかもしれない。
 その手に、してほしくて、してほしくて。自分でさせてしまったことを。


《 E N D 》

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Posted on 2012/03/05 Mon. 23:03 [edit]

category: SS(空折)

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