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龍薔薇 「ヘアスタイルとトキメキについて」 

龍薔薇。
正確には龍→薔薇。空→折もほんのちょっと。
女の子たちがきゃっきゃしてるの好きなのです。そして必然性のないモブ視点。
空折の紙原稿書きながら、すごく…百合が…書きたいです……と唸ってました。
薔薇さんの髪型は夜会巻きですよね、と思っています。
龍さんと薔薇さんのヒーロー時の髪の色は「能力で変化させています」ってヤホォ知恵袋とかで読んだんですけど、ほんとですか???(ホントでも納得イカナイ…)


 ・ ・ ・ ・ ・ 


ヘアスタイルとトキメキについて
― How to Do The French Twist




 オレがタイタンインダストリーに勤めてます、と言うと鉄工所勤務なのかと聞き返される。そんなにデカい鉄を扱ってるわけじゃない。もう少しコンパクトな鉄をいじって暮らしている。
 種明かしをすると、バイクを整備している。それも、ヒーローの乗るバイクを。
 タイタンインダストリーの誇るヒーロー、ブルーローズのバイクだ。
 勤務は三交代制でヒーローに出動がかかればシフトについてるチームがトランスポーターに同乗していく。
 本当はタイタンがスポンサーについてるレーシングチームの整備に行きたかったんだけど、最新のバイクいじれるのは一緒だしな。
 友達に言うと「いいなぁ」とため息が返ってくるけど、本人と話すのなんて稀だ。話してもバイクについて、ここを気をつけてとか、こういうのは大丈夫か、気になるか、とか。と言っても若い女の子だから、あんまりバイクに興味なさそうだし。
 でも最近のブルーローズは仕事にやりがいを感じ始めたみたいだし、タイガー&バーナビーとバイク談義をしたよ、なんて言われたりすると、やっぱり嬉しい。
 バイク整備士ってお客の大事なバイクをメンテする、基本サービス業だから。
 しかし、今日はバイクの出番はなかった。まぁブルーローズは救助ポイントを得たみたいだから、トランスポーターに控えるスタッフはそれなりに機嫌がいい。
 サッサと片付けて、報告書あげて終わるか、とトランスポーターに向かっていると「お疲れ様でーす」の輪唱が聞こえる。
 我らがお姫様のご帰還らしい。
 その後ろから「ブルーローズさーん」とひときわ明るい声が聞こえた。
「ああ、お疲れ様」
「ねぇ、コレ、格好いいね」
「え? わたし?」
 次の瞬間。
「……きゃっ」
 ブルーローズが小さく悲鳴をあげた。
 いつもみたいに声を張ってないからスタッフがコケたのかと思って、オレは振り向いてしまった。
 噂だけど、ブルーローズは実は現役の女子高生ってのがある。今みたいな反応を見ると、ありえるなと思う。
「あ、ごめんなさい」
 そう謝っているのは、宙に人差し指を浮かべたままのドラゴンキッドだ。
 その目の前には肩をすくめて振り向いたブルーローズ。うなじのあたりを押さえて、バツが悪そうに頬を赤らめている。
「急に触っちゃってごめん」
「べ、別に。なに?」
 ぷっくらした唇を尖らせて、ちょっと女王様キャラを取り戻した声で言う。
「あのね、髪型のこと」
 ドラゴンキッドは、こっちは素なんだろう。手を下ろすと無邪気そうな笑顔を浮かべる。
「髪型?」
「そう、カッコいいよね。ボクは髪伸ばすの嫌いだけど、これはスッキリしてて格好いい。すごいイメージぴったり」
「ありがと。キッドも髪の毛、伸ばせばいいじゃない」
「えー…普段が面倒くさい。それにコレつけるなら短いほうが楽だもん」
 そう言いながら、ドラゴンキッドは菓子メーカーのロゴの入った被り物を外す。カメラ回ってないとはいえ、外しちゃマズくないのか。
「ロングヘアにしたいんです、って言えば、衣装だって変えてくれるんじゃない?」
 ブルーローズがドラゴンキッドの手から、ハチマキのような巨大な耳のような衣装の一部を取り上げた。
「あ、これ、すごく軽いんだ」
 軽いのか。まぁ考えてみれば、あれを被ってバンバンアクションしてるんだから当たり前か。
「そうなんだ。だから、これでいいし。もう慣れちゃったし」
「伸ばして、普段からまとめ髪にしてれば? このヘアスタイル、簡単にできるよ」
 ブルーローズはシナを作って見せた。すぐに照れたように笑い出す。こういうところは、やっぱり子供なのかも、と思える。
「ボクは不器用だからなぁ。なんていうスタイルなの?」
「フレンチ・ツイスト。折紙なら『ヤカイマキ』って言うけどね」
「『ヤカイマキ』?」
「日本発祥のヘアスタイルなんだって。『ヤカイ』はフォーマルなパーティーのことらしいよ。『ヤカイ』でするツイスト・ヘアね」
 折紙は、折紙サイクロンのことだろう。日本びいきの見切れ職人。あいつのブログたまに見るけど、ほんとどーでもいいことよく知ってる。雑学クイズ番組に出られそうだ。
「それがなんでフランスってついちゃうの?」
 ドラゴンキッドがもっともな疑問を口にした。
「知らなぁい。ファッションっていったらパリかミラノなカンジなんでしょ」
「ハラジュク・ツイストとか!」
「アニメに出てくる子の髪型でしょ、それじゃ!」
「『オレノヨメ』だ、『オレノヨメ』!」
 お互いにしかわからないような冗談を言い合って、二人してあはは、と笑っている。
「ねぇ、でも、これってどうなってるの? 髪の毛の先はどこにしまってあるの?」
「あー…これはね、こうなってんの」
 ブルーローズはスポンサー名の入ってるヘアアクセサリを外すと、髪からコームを抜いた。フレンチ・ツイスト(和名:ヤカイマキ)が崩れる。
 ヘアワックスか何かついているらしくて、中途半端にもあっと持ち上がっている髪にブルーローズは手櫛を通す。
 髪を下ろしているブルーローズだなんて、かなり貴重な映像って気がする。
「こうやって……」
 と、毛束をとって、時計回りにきつめにねじり上げていく。
「襟足がゆるまないように、しっかりねじって……」
 ねじった毛束の根元をおさえると、その毛先を下に向ける。
「で、下を向けた毛先を、根元にできた髪の隙間に入れるの。ここにね」
「うんうん」
 ドラゴンキッドが興味深そうに近づいて覗き込む。
「で、こっからコームをさして…完成」
「わー、すごい。で、スッキリするんだね」
 と言いながらドラゴンキッドは、ブルーローズのうなじから上につーっと指を滑らせている。ああ、それでさっきもうなじを触ってたのか。それにしてもドラゴンキッドちゃん、男のファンが涎と悔し涙を同時に垂らしそうなことをしてるな。
「でも、もう着替えるから外しちゃおうっと」
 ふたたびブルーローズの髪が下ろされる。
「ところでさぁ。髪痛まない?」
「痛む?」
「ほら、わたしたちって変なカラーリングしてるでしょ」
 聞いたことがある。まさか普段から青や緑の髪をしているわけではなくて、特殊なカラーリング剤を塗布してあるんだとか。普段は地毛の色で、ミスト状にした別の薬液をかけると、シャンプーするまでは青とか緑とかにしておけるらしい。別のチームの女性整備士がさかんにいいなぁ、と言ってたのだ。髪の色なんか毎日変えたいのかね。
 ブルーローズは片手のグローブを外して、ドラゴンキッドの緑色の髪に指を通す。
「あ、いいな」
 指を握りこむみたいにしてブルーローズは幾度か髪を梳いた。
「髪、痛んでないね」
「えへへ」
「あたしのなんかキシキシいうもん」
「ほんと? ……平気だよ。キレイだよ」
 ブルーローズが手を下ろすと、今度はドラゴンキッドが手を伸ばして青い髪を梳きはじめた。女子校か、ここは。
「今はヘアクリームで良く見えてるだけ。シャンプーしてるとき怖い音すんの」
「ふーん。東洋人は髪の毛が太いっていうもんね」
「そっか。いいなー。なんか特別なシャンプーとか使ってるの?」
「え? あー、シャンプーじゃないけど、実家から送られてくるよ。馬油。洗ったあとでつけるの」
「なにそれ」
「馬油。馬の脂肪」
「え、うそでしょ。怖っ」
「怖くないよー。手とか唇にもつけられるよ」
「口ぃ?!」
「食べられるもん、馬の肉」
 ドラゴンキッドは唇を結んで、それを尖らせて見せた。
 ブルーローズはおそるおそるといった感じで、その唇に顔を寄せる。キスするみたいに突き出しているドラゴンキッドの唇に素手の指でちょん、と触れる。
「うわっ、ぷるぷる」
「馬油、馬油」
「うそぉ。ホントに? これが馬の脂肪のおかげぇ?」
 段々と遠慮がなくなって、ブルーローズはドラゴンキッドの肩をがっちり捕まえておいて、その唇をつまんでいる。なんか、これも両方の男性ファンが大騒ぎしそうな絵柄だな。
「今度、ちょっと分けてあげようか」
 得意げな表情でドラゴンキッドが提案した。
「いいの? じゃあ持ってきてもらおうかな」
「明日、トレーニングルーム行く?」
「行く行く。夕方かな。メールするね」
「うん、じゃあ明日ね」
 ばいばーい、と手を振りあってから、二人は別れた。
 ブルーローズはトランスポーターに乗り込む。ドラゴンキッドは自社のトランスポーターへと戻る。
 オレのそばを通るとき、ドラゴンキッドが「やっぱり慣れって大事だな」とつぶやいた。
「ああ、女の子っぽい髪型とかのこと?」
 思わずオレは受け答えしてしまう。あれっ、という顔でドラゴンキッドがこちらに首を向けた。イヤな顔をされるかと思ったら、機嫌がいいのかそのまま話しかけてくる。
「あのね。ボクの知り合いにね、すっごい引っ込み事案の人がいるの。声小さいし、人の顔を見て話せなかったり」
「あー、いるね、そういうヤツ」
「それでね。別の知り合いの人がね、その人のこと好きなの。でも、話しかけても反応薄くて、一緒に何々しようとか誘っても『えっ、そんな、僕はいいです』って逃げちゃうの」
「勿体ないなー」
「勿体ないよね。で、その好きになったほうの人は、もう毎日毎日、ちょっとやりすぎっていうくらい話しかけたり、しつっこく誘ったり、どこでもハグしちゃったりしてね」
「引っ込み思案くん、それ引くんじゃない?」
「それがね、最近慣れてきてね。前は人前でハグされそうになったら、ギャー何ですか無理ですって逃げてたのに、昨日なんか『ありがとう、そして、ありがとう!』ってぎゅーってされたら、『わっ、えー、そんな大したことじゃないですよー』なんて、引っつかれたまま言ってたんだよ。ボクが目の前にいたのに! だから、ボクもブ」
 オレは笑い出してしまって、何か言いかけたドラゴンキッドが言いやめた。
「っていうか何、ドラゴンキッドちゃんの友達にスカイハイのファンがいるの? そっちのほうがウケるね」
 ちょっと考えたあと、ドラゴンキッドはにかっと笑った。
「うん、スカイハイのファンの友達もいるし、スカイハイも友達だよ」
 キング・オブ・ヒーローは先輩じゃなくて友達か。まぁいいけど。
 ところで何の話してたっけ。ああ、慣れか。慣れの話ね。
「でも、そのスカイハイ口調の人は気をつけないとなぁ。慣れちゃってときめかなくなっちゃったらダメじゃん」
「え、そうなの?」
「だって、まだ付き合ってないんでしょ。なのに慣れちゃったらドキドキしなくなるってことでしょ」
 うーん、と考え込むドラゴンキッド。十コ下(推定)の女の子相手に何言ってるんだろう、とオレは我に返る。仕事に戻らないと。
「って意見もあるって言っといて。じゃあ、また。…頑張ってください」
 相手はオレたちの街を守ってくれてるヒーローなんだって思い出して、最後は敬語になった。
「ありがとうございます。うん、ボクも頑張ります」
 棍棒は持ってなかったけど、決めポーズをしてくれた。豪華な気分になる。
 トキメキかぁ、と唸りながらドラゴンキッドは去っていった。
 ビルの壁面の大型ビジョンに今日のHERO.TVのダイジェストが流れていた。
 何か活躍したらしくて、珍しく折紙サイクロンがインタビュー受けてる。インタビュアー遮って喋んないでやれよ。こういうヤツならウザいくらい積極的にアプローチするんだろうなぁ。豆知識とか披露しまくって。
 オレは工具箱を持ち直した。
 さぁ、仕事仕事。


■ E N D ■

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Posted on 2012/02/03 Fri. 22:57 [edit]

category: SS(龍薔薇)

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