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見切れ新刊 「Half Boiled Hero&Hard Boiled Dog!」 

2013/09/01(日)の「見切れで御免・四」に参加します。
スペースはA23です。

新刊は『Half Boiled Hero&Hard Boiled Dog!』オフセ、36p。
half

ジョン視点で、空←→折からの空折です。
ジョンの設定に色々捏造があったり…っていうかジョンはダンディなおじさまだったりします(笑)。
ちょっと事件風味(?)だったりも。
ついて来られそうな方はよろしくお願いします!


また、スペース内から、
10月27日(日)のCOMIC CITY SPARK8内で開催される空折プチオンリー「PRIVATE FOCUS」さんのチラシを配布します。


↓ 以下、サンプルです。↓

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

『Half Boiled Hero&Hard Boiled Dog!』



2.

(前略)

 そこでわたしはヒーローと…スカイハイと暮らすことになった。
 特殊な能力を持っているとはいえ、ヒーローは犯罪者との対決や大事故の処理に当たる。そんな彼を案じて、わたしは気が休まらないのではないかと危惧したが、幸いにもそうはならなかった。
 ヒーローというのは大企業のサラリーマンだ。強盗を追跡するし、火災や事故現場に赴くことは確かだが、毎回毎回、生死を賭けて出動しているわけではない。シュテルンビルトは法治国家の中にある商業都市で、混沌とした戦闘地帯ではない。
 それに、わたしもよく視聴していたHERO.TV…あの番組が実によく出来ている。いかにも決死のレスキューや犯罪者との息詰まる死闘に見せてはいるが、あれはショウだ。家族の集まったリビングのTVに、誰かの本物の死など映せるはずがない。一度だけ、市民を人質に取られNEXT能力者との真剣勝負を挑まれたことがあったが、あれにはひどく肝を冷やした。
 スカイハイの衣装を脱いだ人物は、キース・グッドマンといった。
 わたしはキースの身の安全について気に病むことはせずとも良かった。しかし、彼については別のことを心配してやらなければならなかった。
「ああ…何ということだ、スカイハイ、さっきのは正しい行動かい? ……違う。断固として間違っている」
 わたしの散歩を終えて部屋に帰り着くなり、キースはがっくりと膝を折った。
「どうしたらいい、スカイハイ。あれは親切心か? 最初はそうかもしれない…けれど…そうだ、私は途中から別のことを考えていた!」
 先ほども言ったが、キース自身があの衣装とマスクを着けてスカイハイになるのだ。それなのに、キースは時折こういう言動を見せる。
「彼の手を、しかも両手をこう…何てことだ」
 盛大にため息をつくと、キースは部屋の隅で待っているわたしを振り返った。わたしの食事について思い出してくれたかと思ったが、そうではなかった。
「しかも私は、あろうことかジョンをダシに使ってしまった。この無垢な魂を持った生き物を」
 こっちはそんな大仰な褒め言葉よりもさっさと食事の用意をしてほしいのだが。
「最初に彼の手を握ったのも、ジョンにかこつけてだった! スカイハイ、これは到底許されないはずだ…!」
 キース自身がスカイハイなのだが、どうやら心の中に行動の指針として常にヒーロー姿の自分を掲げているようなのだ。決断に迷うことがあると、もう一人の自分に問いかけて答えを導き出すのだろう。
 その様子をはじめて目にしたときは面食らったが、わたしと最初に暮らしたあの小さな女の子のやっていた、一人で何役もこなすお人形遊びを見物していたので免疫があった。このキースの行動を最近では、密かに《スカイハイ劇場》と名づけている。
 よもや職場などでもこんな問答を繰り広げていないか、するにしても声に出さずやってくれと願うばかりだ。わたしがキースと外出するのは散歩と休日の買い物くらいだが、心穏やかに過ごせているのか、その最中に《スカイハイ劇場》が開演されることはなかった。
 そうそう、『彼』というのはキースの仕事仲間にして後輩で、名前をイワン・カレリンという。本来なら仲間というよりライバルなのかもしれない。イワンもまたヒーローなのだ。
 イワンというのも不思議な人物だった。キースより若く、普段着でいるところを見ればまだ学生のように見える。彼は折紙サイクロンというヒーローなのだが、普段の物静かな様子とは打って変わって、衣装とマスクをつけると驚くほど賑やかでコミカルな人物になる。
 しかも、ヒーローとしての活動も一風変わっていて、犯人逮捕や人命救助もすることはするが、基本的に活躍する別のヒーローの背後でTV画面に映りこむことを活動の主眼に置いているそうだ。その行為をTV業界では『見切れ』と呼ぶが、本来『見切れる』というのは映ってはいけないものが画面に入り込んでしまうアクシデントを指して使う言葉らしい。面白いだろう、彼は見切れヒーローなんだよ、といつだったかキースがにこにこと解説してくれた。
 物陰から素早く駆け寄ってひょっこり顔を…いやスポンサーのロゴを覗かせるなんて、わたしたち犬はまだしも猫たちはきっとTV画面に飛びついているだろう。
 背後で『見切れ』られるうちにどんな心情の変化があったのか、キースはいつからかイワンを憎からず思うようになったらしい。
 確かにイワンというのは、彫刻か人形のような、驚くくらい整った顔をしている。なぜだか長い前髪で半ば顔は隠されているが、キースだって目を惹かれたことは想像に難くない。

(中略)


3.

 両手を握ってしまったことをあんなに反省していたキースだが、その翌週はまたイワンと同じ公園にいた。

 少し離れた場所から子供の泣き声が聞こえてきた。耳の良いわたしはもとより、職業意識の高いヒーローの二人もそちらへ顔を向ける。幼い兄弟が泣きながら二人して大きな木を仰いでいた。
「あ、あれ」
 イワンが枝の間を指した。キースもうなずく。
「ああ、風船を飛ばしてしまったんだね」
 どうやら幼い男の子が手を放したために飛んでいった風船が、枝に引っかかっているらしい。四人の人間には違いがわかるようだが、枝葉と似た色の風船のようだ。わたしの目は人間のように様々な色を認識することはできない。
「私が取ってあげようか」
「え…NEXTで、ですか」
 イワンは困ったようにつぶやく。
「うーん、引っかかっているのがボールなら風が吹けば落ちてくるけれど…風船ひとつを上手く引き寄せるなんて器用な真似は…やはり無理かな」
「いや、僕は公共の場でNEXT使っちゃ、正体バレ的な意味でまずいかなって思ったんですけど……あっ」
「うん?」
「僕が行って来ましょうか。練習がてら」
「きみが? 確かに身軽なのは知っているよ。でも」
「NEXTを使っちゃうんですけど。小型の猿になって」
「…ああ、なるほど」
 キースは振り返ると、風船をかろうじて繋ぎ止めている木を眺めた。
「この間、街中でペットの猿を肩に乗せた人がいたんですよ。人懐っこくて、触らせてもらったんです。それで…事件現場でも今後使えるかなって。手の指とか人間みたいに動かせるか試したいんです」
「イワンくんは本当に努力家だ」
「いえ、そんな…半分趣味みたいなもので……あの、今なら他に人がいないし」
 ベンチから立ち上がったイワンは肩をすくめる。
「すみません。ジョンを押さえておいてくれますか」
「ああ、いいよ」
 キースも腰を上げ、わたしの体を上から抱くようにした。わたしは鼻を鳴らす。心外だ。イワンのNEXT…擬態のことは知っている。立ち去ったイワンのかわりに小さな猿がやって来たら、わたしが飛びかかると考えているのか。誤解もいいところだ。
 わたしたちから数歩離れたイワンは、辺りを見回してからその体を青白く光らせた。イワンの姿が消え、地面には小さな猿が現れた。ここで吠えたらイワンはびっくりするだろう。勿論そんなことはしない。
 わたしが悪戯を空想しているうちに、キースはわたしの引き綱の端をベンチの肘置きに結んでいた。
「さあ、イワンくん行こう。私が連れていったほうが自然だろう? ジョンはここでいい子にしていてくれるね」
 何てことだ。わたしは不満げに唸った。わたしだってイワンの活躍をこの目で見たいのに。キースは屈んでチワワくらいの大きさになったイワンを抱え上げた。
 わたしが唸ったことで危険を感じたのか、イワンはキースの腕の中できゅっと小さくなった。キースがその頭をよしよしというように撫でながら歩いていく。
 イワンの作戦は首尾よくいったらしい。わたしは遠くから見ていただけだったので詳しくはわからないが。ただし、最後に感激した男の子たちは小さな猿を撫で回そうとしたために、キースはイワンをフライトジャケットの内側に隠すようにして小走りに戻ってきた。
 物陰で元の姿に戻ったイワンはふらふらとベンチに腰を下ろした。見るからに顔が赤い。
「…大丈夫かい?」
「だ、大丈夫です。ちょっとだけ…息が上がっちゃって」
「すまない! 私が服の中にしまいこんだせいだ!」
「い、いえ、それは、あの…助かりました、から」
「飲み物でも買ってくるよ。待っていて」
 キースは急ぎ足でわたしたちの許を離れていく。その後ろ姿が見えなくなると驚くべきことが起こった。
 イワンはベンチからずるりと尻を滑らせ、わたしの隣にしゃがみこむ格好になった。顔を上げるとやはり血がのぼっているようだ。頬だけでなく耳や首まで赤い。
「ああぁぁぁ……キースさん…ッ」
 イワンは呻いた。なぜかわたしの首元に抱きついて。
「うぅ…ごめんなさいぃ……キースさぁぁん……」
 ぼそぼそと押し殺した声でそう言いつつ、抱き締めたわたしを揺さぶる。わたしの毛色とキースの髪の色は似ているようだが、イワンが一人と一匹を取り違えるとも思えない。
 わたしはハッとした。聞いたことがある。熱を出すと幻覚が見えたりうわ言を言ったりするのだ。この状態を譫妄とか呼ぶはずだ。
 これは困った。イワンはそんなに具合が悪かったのか。引き綱はまだベンチに結わえられたままで、助けを求めようにも身動きが取れない。
 イワンは焦るわたしに構わずつぶやき続けた。
「だだだ抱っこされた……頭よしよしされて……私の胸に飛び込んでおいで…かーらーのー…ふふ服の…中とか……ふふ…うわあぁぁ……」
 うん? わたしは聞き返したかったが、イワンはまだブツブツと続けている。
「イベント発生しすぎだよ…猿だけど…猿でもいい……親密度まだまだなのにおかしいって……しし心臓の音とか…聞こえ……ああもう死ぬかと思っ…た……」
 ようやくわかった。イワンはさっきキースに抱えられたことに盛大に照れているのだ。胸に飛び込んだとかいうのは、風船を掴んで木から降りるときに、キースの腕の中にジャンプしたことを指すのだろう。
 うん、これはイワンもキースのことが好きだと断定して間違いない。二人は好き合っているのだ。キースの想いは報われないわけではなさそうだ。
 嬉しくなって尻尾を揺らしはじめるわたしの前で、イワンはさらなる奇妙な行動に出た。

(後略)


……こういうダメダメな人間たちをジョンが見守ったり応援したりしてます。
よろしくお願いします。


  
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Posted on 2013/08/19 Mon. 00:34 [edit]

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