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龍薔薇「かわいくないっ」 

あけましておめでとうございます!! 辰年なので1コめの投稿は龍薔薇を。アニマッ●スの12/29・30の一挙放送で龍薔薇にぐらっときてしまいましたっ。最終話(の1コ前?)で立ち膝で抱き合ってるのとか何なのあれ。かぁわいいっ。



かわいくないっ


「ほらほらパオリン、見て」
 トレーニングルームのレストコーナーで、カリーナはめくっていた雑誌の1ページを指してパオリンに言った。
「この間一緒に観に行ったあの映画、賞の最有力だって」
「ほんとだ」
「やっぱり、あれいい映画だったもんね。ね?」
 嬉しそうに言うカリーナにパオリンは小首を傾げる。
「うーん」
「え、ダメ?」
「陰謀が暴かれる、とかあらすじに書いてあったから、銃撃戦とかアクションとかもっとあるかと思ってた」
「ああいうのがリアリティがあるっていうの」
「ふーん」
 パオリンはカリーナに合わせてちょっと難しい映画に挑戦したらしい。
「それにさ。バンバン銃を撃ち合うのとか、現実でイヤってくらい経験済みじゃない? わたしたち」
「あとね、結局悪い人が捕まらないっていうか、そこもスッキリしなかった」
「うーん、あれは後味悪かったかもね、確かに」
 うんうん、と二度ほどうなずいてからカリーナは斜めに視線を向けた。
 ソファの端には胡坐をかくイワンがいる。
「折紙は観てない? これ」
 雑誌を開いて掲げると、イワンは軽くうなずいた。
「ああ、その映画なら観たよ」
 中世日本の文化だけでなく、ゲームやら映画やらと趣味の広いイワンだ。やはりチェックしていた、とカリーナは勢い込んだ。
「どうだった? よかったでしょ?」
「まぁまぁ面白かったかな。でも、終盤がご都合主義っていうか。記憶メディアを主人公が見つけるところとか……あそこから出てくるって、警察は何を捜査してるんだって思わなかった?」
「えー、そんな細かいのどうでもいいじゃない。あれは事故だと思われてたからだってことでしょ」
「いや、でもリアリティがいいんだって今言ってなかった?」
 それよりもさぁ、とカリーナが矛先を変える。
「主人公の二人が惹かれていくところがすごくハラハラしなかった?」
「別れ別れになっちゃうのに、って?」
「そう! それで、あの宿舎での一緒にシャワーを浴びるシーンで、うるうるしちゃった」
「でもあのシーンって『将軍の娘』のパクりでしょ」
「え、そうなの?」
「パクりじゃ言い方が悪いね。リスペクトかな、下敷きにしてるっていうか」
「でもいいシーンじゃない?」
「まぁそうだね。お互いに秘密を抱えて、壁にぶつかって、慰めあう、その流れは確かに」
「でしょう?!」
 折紙の言ってた映画は知らないけど、あのシーンで流れる音楽はすごくしっくりきてたしステキだったもん、とカリーナはわが事のように唇をほころばせた。
「確かに、あの映画はキレイに撮ってたけど、実際はあんなにいいもんじゃないよね」
「実際?」
 いままで話から弾き出されていたようなパオリンが顔を上げて訊いた。
「ああ、だから、誰かと一緒にシャワーを浴びるなんていうこと」
「何がダメなの?」
「何がって……そんなにロマンチックじゃないというか、うざったいっていうか……髪を洗ってるときなんてホント放っといてってカンジになるっていうか」
 考えてみればわかりそうなもんだけど想像してたのと違うよね、と締めくくったイワンを女子二人がじぃーっと見つめていた。
「へぇ……」
「え? あれ?」
「そうなの?」
「そう、って……」
「想像してたのと違って、いいもんじゃないわけ?」
「え? えーっと……」
 イワンは自分の失言に思い至ったらしく、数センチずつソファの上を移動していって、そーっと席を立った。
「ああ、そうだ! も、もう行かなくちゃ!」
 なぜ今予定を思い出すんだとか、暇そうにしていたのは何だったんだとか言われる前に、イワンは回れ右をして走り去った。
 半眼になってその背中を見送っていたカリーナがぼそりと低い声を出した。
「……かわいくない」
 眉間と鼻の頭に皺を寄せた、美容によろしくなさそうな顔で言う。
「そんな生々しい話が聞きたかったわけじゃないわよ! 何あれ、何なの! 折紙が全然がわいくない!」
 ねぇ、とカリーナが勢い込んでパオリンの方を向けば彼女は細い顎の先に人差し指を当てて考え込んでいた。
「……シャワーを一緒に浴びるのって、そんなに楽しくないんだ」
「あの……?」
「髪を洗ってあげたりするの、楽しそうなのに。折紙さんでさえうざったいなら、もっと髪の長い人じゃきっと、もっと嫌だよね?」
「……パオリン?」
 パオリンは顎の先から指をどけると、目の前にあるカリーナのウエーブした長い髪の先にそっと触れて、揺らした。
「残念だなぁ」
「ええと、あの……」
 大きな瞳をぱちぱちと瞬いている様はいつもと同じように見えるけれど、何だか今はちょっと違う。
 あんたもかわいくない、とカリーナは心の中で唱えた。さっきの折紙とは違う意味で。



 《 E N D 》


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


『将軍の娘』の映画版は観てません……(すみませんっ)
 でも原作小説でのそのシャワーシーンはグッときました~。あ、これも後味あんまりよくないお話です。。。
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Posted on 2012/01/03 Tue. 00:31 [edit]

category: SS(龍薔薇)

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