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スパコミ新刊① 「SUMMER!! SUMMER!! SUMMER!!」 

スパコミ二日目の新刊・1冊めのサンプルです。
『SUMMER!! SUMMER!! SUMMER!!』 R18・オフセ・52p・500yen。

summer3


夏の朝、夕方、夜という三つのシーンで、ゆるく繋がったオムニバスです。
あ、二人はできあがってます(笑)。
Rつけましたが、そんなに…では、ないかと。

サンプルに載せる一話目は、後朝(笑/…つまり初めての夜、の翌朝)の二人。
あとの二つのお話はそれより少しあと、です。
二話目ではキースさんを心配してイワンくんがやきもきしてみたり、
三話目では今度はイワンくんの頑なさにキースさんがやきもきします。
(…でも全体的にいちゃついてます。)
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

『SUMMER!! SUMMER!! SUMMER!!』より


This sky is perfect for flight !


 夏の朝特有の、濃い青色の空。
 気持ちのいい天気だ、とイワンは思う。
 たとえ頭の中がどんなにごちゃごちゃと混乱を極めていても、頭の上に広がるのは気持ちのいい青空だ。
 ただし。
 ビュゥッと風が吹き抜けて、イワンは両手両足に力をこめた。
 まさか吹き飛ばされはしないだろうが、風が強い。
「……話をしよう!」
 キースのよく通るはずの声もすぐに風に掻き消されてしまう。
 今日は晴れ渡った、風の穏やかな一日になるだろう。昨日の天気予報でそう言っていた。
 今いるこの場所が、風が強いだけの話だ。
 ここはオフィスビルの屋上だ。無我夢中で走っていたから自信はないけれど、階段を十一階まで上ったような気がする。マンションなどの住居なら高さは三十メートルくらいになるが、オフィスだと天井も高いし床も厚いから、ここは地上から四十メートルくらいの高さだろうか。
「うるさい!」
 そう言い返す裏返った声も、風にさらわれていく。
 強い風の中で叫んでいるからなのか、普段大声を出すようなことがあまりないせいか、その声はすでに掠れていた。
 二人が叫びあっているのは地上にまで届くことはないだろう、とイワンは思った。
 つまり、誰か奇特な人がよくよく目を凝らしてこのビルの屋上を見上げでもしない限り、この騒ぎが気づかれることはないだろう。
「さっきも言っただろう、きみは飛び降りても無駄だ! それは理解してくれたね?」
 イワンはそう叫ぶキースを見上げる。
 本当にそうだろうか。キースは今現在、Tシャツにジーンズという普段着、もちろん素顔だ。ヒーローの《スカイハイ》ではない。一般人のキース・グッドマンだ。
 確かにキースは《空中に浮かぶ》というNEXT能力を持っている。しかし、スカイハイではない今、その背にジェットパックエンジンはない。
 飛び降りた人間を空中で捕まえられたら、二人して宙に浮かぶことはできるだろうが、キャッチできなかったらアウトだ。それに、ジェットパックなしで、大人一人とプラスアルファを抱えても浮かびつづけることはできるのか。そんなに上手くいくものか。
 一か八か、やってみないとわからない。
 そこまで考えて、イワンは背筋がふいに寒くなった。
 一緒に飛び降りるなんて危険すぎる。何があるかわからない。
 しかし、キースは自分がNEXTだとは伝えたが、その能力がどういったものか明かしていない。念動力や見たものを瞬間移動させるなら、百%に近い確率で救助は成功する。
 ゆえに、《彼女》もキースの真意を計りかねていた。
「だから! そんなに言うならやってみせなさいよ!」
「私を立ち去らせたいなら、ここから飛び降りるっていうきみの選択を、私に納得させるんだね!」
「放っといてよ! あたし、死にたいの!」
 人気のないビルの屋上で手すりを乗り越えたのだから、もちろんそうなのだろう。
 イワンは《彼女》の腕に抱かれて、しかし《彼女》とは正反対の言葉を胸のうちで叫ぶ。
――神様、消えたいとか死にたいとかブツブツ言ったのは、あれは言葉の綾です……!
 猫に擬態した状態のイワンは、こんな状況でなかったら多少は嬉しいかもしれない美人の腕の中で唸り声を発した。
 そして、数メートル離れた場所に立つキースを見上げる。
 逆光ぎみの視界の中で、キースの表情はよく読み取ることができなかった。


 キースとイワン、そして見ず知らずの女性の三人がビルの屋上で対峙する、その少し前。
 イワンは上ったばかりの太陽の下を早足で歩いていた。
 頭の中では呪詛じみた文句を繰り返す。
――ああぁもう見えなくなりたいっていうか消えたい…いっそ死にたい……!
 普段からちょっとしたことで『終わった』だの『詰んだ』だのといったネガティブな単語が飛び交うイワンの脳内ではあったが、今朝はそれにしても物騒だ。


(略)


 昨夜のアレは何だったんだろう。
 とぼとぼと来た道を戻りながら、イワンは思い返す。
 キースのことは好きだ。もちろん、その気持ちに変わりはない。
 自分自身に確認するようにイワンは胸のうちでつぶやく。
 だけど、そんな確認は頭の中の混乱を収める役には立たなかった。
 そう、自分たちは恋人どうしなのだ。
 だから、当然と言えば当然だ。
 愛情を伝えあうことは大切だと思う。口下手なイワンだが、だからこそ一緒に過ごせる幸せや相手が自分のために何かしてくれたことに対する感謝を伝える大切さはわかっているつもりだ。
 好きだと表現すること。言葉で、それから――
 アレは本当にあったことだろうか。
 全身に残るだるさも、頭が重く感じられる寝不足も、実際の出来事だと訴えてくる。
 それでもイワンは、全部自分の妄想だったらいいのにと思ってみたりした。
 アレが全部自分の頭の中で繰り広げられた妄想だとしたら、自分は随分と欲求不満な人間みたいだけど。それでも。
 窓辺で夜景を眺めていた。肩に置かれた手に首のつけ根をきゅっと抓むようにされて、顔を上げた。
 顎の先を指に捕えられて、唇が降りてくる。
 キスをするのは、もう何度目だろう。
 数えるほどではないけれど、慣れたわけでもない。
 会話が途切れた拍子に唇を重ねることは決して嫌ではなかったが、ムードの変化というか雰囲気を読み取ることが上手くいかない。
 言葉を探しているのかと思っていたキースが顔を傾けて首を伸ばしてくるたびに、ぽかんとしてしまう。背を強張らせて、息を詰めているうちに唇が重なっている。
 イワンのほうからキスをしたくなることがないのかと言えば、あるにはあるのだけれど、どう言い出していいかわからずにそわそわしてばかりいる。
 立ったままするキスは落ち着かない。振り向きざまのキスには焦るばかりだ。
 息を継ぐタイミングでするりと這入りこんでくる舌先。自分のものでない熱さと厚みに肩が揺れてしまう。
 肘のあたりを掴んでいた手が、いつの間にか背中を往復していた。
 もう片方の手が、耳の形を確かめるように撫でていく。かと思うとうなじをくすぐって、髪を梳いていく。
 いままでで、一番長いキスじゃないかなとぼんやりする頭の片隅で考えていた。
 唇が離れて、細く息をつく。伏し目がちになっていた瞼を上げる。
 キースはイワンの背に腕を巻きつけたまま言った。
『シャワーを浴びなくても、いいかな』
『え……?』
 妙に困ったような、申し訳なさそうな表情だった。
 イワンは顎を引いたような気がする。
『きみも、構わない?』
 言われている言葉の意味がわからなかった。
 急に、きつく抱きしめられた。唇がもう一度塞がれる。吸い上げられる舌。驚いて鼻声を漏らすと、今度は突き出されたキースの舌で口の中を捏ね回された。
 抱き締められたまま、キスを続けたままで、隣の部屋へ移動していた。後ろ向きに歩いていたイワンは、キースの腕に抱きとめられていなかったら尻餅をついていたかもしれない。
 唇が離れた。呼吸を取り戻す間もなく、着ていたTシャツをめくりあげられた。あっと声を上げたかどうかのうちに、薄っぺらい綿の布地は床に落ちていた。キースも自分のTシャツを脱ぎ捨てたのが見える。
 元通りに、という言葉が一瞬頭をよぎった。それほど当たり前のように唇が重ねられた。さっきより深くかみ合わせられる。
 舌のたてる水音に、ベルトの鳴る音が重なった。
 膝が崩れた。下着一枚になったイワンが腰を下ろしたのは、ベッドの上だった。
 膝の裏をすくい上げられるようにして、シーツの上に横たえられる。キースが自分のジーンズをベッドの下に蹴って脱ぐのが視界の端に映った。
 下着の中に入ってくる指先を感じながらまだイワンは、まさかと思っていた。
 手をつなぐのだって、あれほど時間がかかったのに。
 挨拶ではないキスをするのに、あんなにじりじりした気分を味わったのに。
 第一、好きだとお互いに思いを伝えあうのにも、やけに遠回りをしたのに。
 キースさんは何か悪いものでも食べただろうか、とイワンは記憶を辿っていた。
 耳朶を甘く噛まれる。息を吸おうとしていたイワンの唇から裏返った声が漏れた。同時に、腰骨のあたりに他と間違えようのない塊が当たる。硬くて熱い。
 好きだ、とささやき声が耳に注がれる。腰に押し当てられるキースの熱。
 自分たちは二人とも、今夜は酒の類いを一滴だって摂取していない。
 それなのに、どうしてこんなことになっているのだろう。おかしな薬でも飲んだか。何者かのNEXTを受けてしまったのか。
 もちろん、そんな突飛な原因なんてないことはわかっている。
 だとしたら一体いつ、どのあたりからこんな予兆があったのだろう。夜の海を眺めていただけなのに。夏が来たと話していただけなのに。
 手をつなぐタイミングも、抱き寄せられるきっかけも、いつも見逃してばかりだ。だけど、それにしても。
 今日こんなことになるなんて思わなかった。甘えたような鼻声を洩らしながらイワンは思った。だったら、いつなら良かったのか。そもそも、望んでいなかったのかと訊かれたら、そういうわけでもない。ただ、明確な約束も予測もなかった。曲がりなりにも《つき合っている》相手の部屋へ泊まりに行く約束をした時点で、もうこうなることが決まっていたのだろうか。
 今なら、まだ。やめてほしいとか無理だとか心の準備が出来ていないだとか言えば、どうにかなるのかもしれない。イワンはさっきの自分史上最長のキスからこちら、何ひとつ抵抗していないのだ。
 自由になる手で上になったキースの体を押そうとして気がつく。上といっても、キースは真上から全体重をかけて抱きついているわけではなかった。少し体を斜めにして、片方の肘で自分の体重を支えていた。
 気を遣ってくれているというか、この人はけっこう冷静なんだと思った。それなのに、熱っぽくイワンの名前を呼んでいる。どうにかしてくれと言うみたいに押しつけてくる下着ごしの昂り。
 どうしていいかわからなくなった。
 鼻にかかった声で、もつれるような舌でキースの名前を呼んだ。呼べば、どうにかしてくれるかのように。
 腰骨に当たって小刻みに揺れる、がちがちに硬くなった場所に手を伸ばした。そこに直に触れればどうにかなるみたいに。


(抜粋おわり)


……よろしくお願いします!

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Posted on 2013/04/25 Thu. 17:45 [edit]

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